岡山市立馬屋下小学校

岡山市立馬屋下小学校

岡山市立馬屋下小学校（おかやましりつ まやしもしょうがっこう）は、岡山県岡山市北区松尾に所在する公立小学校です。

概説

本校は、現在の岡山市北区一宮地域に位置し、明治時代に設立された複数の小学校が1890年（明治23年）に再編・統合された結果、同じ歴史的源流を持つ「岡山一宮（中山）地域三小学校」（平津小学校、中山小学校、馬屋下小学校）の一つとして数えられています。これらの学校の共通のルーツは、江戸時代寛文年間（特に1668年）に岡山藩によって整備された庶民のための手習所である「今岡妙教寺の手習所」に遡ります。手習所制度は1674年（延宝2年）に廃止されますが、その後も地域にはその流れを汲む村立や私設の寺子屋が営まれ、これらが明治期に設立される地域小学校の前身となりました。また、隣接する津高香和地域にあった高山小学（現在の岡山市立馬屋上小学校）の流れを汲む学校としても位置づけられています。

公的な記録上の設立は、学制および小学校令の整備が進められた1890年（明治23年）に「驛小学校（えきしょうがっこう）」として開校したことに始まります。これにより、120年以上の長い歴史を持つ小学校とされています。本来の設立者は当時の馬屋下村ですが、開校当初にただ一人で訓導を務め、学校運営を取りまとめた今井芳太郎が設立者として扱われることもあります。かつての校名である「驛」や現在の「馬屋下」という名称は、古くこの地の近隣に設置されていた古代山陽道の「津高駅」の駅家（馬屋）に由来しています。

近年、特に平成時代に入ってからは、岡山市立桃丘小学校が新設され学区が分離した影響や、地域の少子高齢化に伴い、児童数が大幅に減少し、学年によっては1クラス編成となる状況が見られます。

シンボル

馬屋下小学校の校章は、下向きの三角（▽）の上に上向きの三角（△）を重ねてできた六芒星の中央に、「馬」の字の角を丸めた崩し文字を配したデザインです。上向きの三角には薄墨色が施されていますが、どちらの三角の色が濃いかは時代によって表記が異なる場合があるようです。校章に六芒星が採用されたのは、学校の学区を構成する6つの大字（大窪、松尾、福谷、長野、横尾、芳賀）に由来しており、これらの地域の発展と、この地で育つ子どもたちが星のように輝かしい人生を送れるように、という願いが込められています。

現在の校章が制定されたのは戦後ですが、それ以前にも校章は存在しました。1926年（大正15年）に「馬屋下尋常高等小学校」と改称されてから戦中にかけて使用された校章は、五弁の桜花の中央に現在の校章にも見られる「馬」の崩し文字を配したもので、子どもたちの人生が美しく花開くことを願うデザインでした。さらに、「驛尋常小学校」時代の校章は、五弁の桜花の上に五芒星を重ね、その中心部分に円形に「驛」の崩し文字をレイアウトしたものでした。

周辺環境と地域との関わり

設立当初、学校は現在の地ではなく、その北にある小高い飯盛山の中腹に位置していました。そのため、馬屋下小学校の校歌にはこの飯盛山の存在が歌われています。

現在の学校周辺は、一宮地域の中でも特に稲作や葡萄、白桃の栽培が盛んな農業地域です。かつては地域の農家の子どもたちが通い、卒業後に家業を継ぎ、その子もまた本校に通うという、典型的な農村の小学校でした。近年は岡山市中心部へのベッドタウン化が進み、また少子高齢化の影響もあり、かつての様相は変化しつつありますが、地域の農業文化は色濃く残っています。その名残として、小学校では近隣の田畑を借りて「まやしもっこ農園」と名付け、児童たちが地域の住民の指導を受けながら田植えから稲刈り、収穫祭までの一連の作業を学ぶなど、農業を通じた総合学習が行われています。

地理的に山間部にあたる横尾や福谷奥地からの通学については、かつて中鉄バスの路線が利用されていましたが、2004年12月の路線廃止に伴い、現在は保護者による団体送迎が許可される形で対応が取られています。

沿革（主な出来事）

学校の歴史は江戸時代の手習所に始まりますが、近代学校としての主な沿革は以下の通りです。

1890年（明治23年）4月: 大善小学と芳賀小学が統合し、馬屋下村大窪に驛小学校として設立。
1893年（明治26年）4月: 驛尋常小学校に改称（現在の公的な設立起点）。
1902年（明治35年）6月: 新校舎が完成し、大窪から松尾へ移転。
1914年（大正3年）4月: 高等科を設置し、驛尋常高等小学校となる。
1926年（大正15年）7月: 校名を馬屋下尋常高等小学校に改称。
1941年（昭和16年）4月: 国民学校化により、馬屋下国民学校に改称。
1947年（昭和22年）4月: 学制改革に伴い、馬屋下小学校となる。
1970年（昭和45年）3月: 横尾分校を本校に統合し、廃止。
1971年（昭和46年）1月: 一宮町が岡山市に編入されたことにより、岡山市立馬屋下小学校に改称される。
1978年（昭和53年）8月: 現在の校舎とプールが完成し、現在地へ移転。
1979年（昭和54年）1月: 現在の体育館が完成。
1990年（平成2年）4月: 岡山市立桃丘小学校が新設され、学区が分離。
2007年（平成19年）7月: コミュニティ・スクール指定を受ける。

教育目標

時代の変遷により複数の教育目標が掲げられてきました。

1908年（明治41年）制定の校訓：一.言語ヲ慎メ 二.行ヲ慎メ 三.正直ニセヨ 四.自分ノ事ハ自分デセヨ 五.他人ノ為ニツクセ
自主自立
自ら進んで まなぶ子、つよい子、やさしい子
人間尊重の精神を基調として知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな子どもを育成する
地域協働で自立心に富み人間性豊かな子どもを育成する
進んで学び、笑顔であいさつ、みんなのために働く子

進学先・隣接校区

多くの卒業生は岡山市立中山中学校へ進学します。同じ中山中学校区には、岡山市立中山小学校と岡山市立平津小学校があります。その他、岡山市立馬屋上小学校、岡山市立蛍明小学校、岡山市立足守小学校、岡山市立庄内小学校などが隣接する学区の小学校です。

アクセス

バス：中鉄バス 大窪経由芳賀佐山団地線「松尾」停留所より西へ徒歩約3分。
自動車：山陽自動車道吉備スマートインターチェンジより北へ約10分。JR吉備線備前一宮駅より北へ自動車で約15分。岡山空港より南へ自動車で約20分。

主な出身者

白神宏佑（卓球指導者、元卓球選手）

関連項目

岡山市立桃丘小学校（本校より分離独立）
岡山県小学校一覧

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