岡山藩藩学

岡山藩藩学：日本で最初の藩校

岡山藩藩学は、江戸時代前期の寛文9年（1669年）、岡山藩主・池田光政によって創設された藩校です。湯島聖堂よりも21年も早く開校した、日本最古の藩校の一つとして知られています。岡山県岡山市北区蕃山町に位置し、国学や岡山学校とも呼ばれ、現在は国の史跡に指定されています。

創設までの道のり

藩学の設立は、光政の熱心な教育への取り組みによって実現しました。寛永18年（1641年）、熊沢蕃山を主宰とする花畠会が創設され、「花畠教場」が開かれました。その後、寛文6年（1666年）に花畠教場は廃止されますが、岡山城内の仮学館へと移行し、教育は続けられました。しかし、生徒数の増加により手狭となったため、光政は西中山下に新たな藩学の建設を決定します。

建設地には、光政によって弾圧された日蓮宗不受不施派の円乗院の跡地が選ばれました。寺院跡地と家臣の屋敷の敷地を接収し、寛文9年（1669年）7月25日、盛大な開校式が執り行われました。開校式には生徒85名を含む160名もの参加者があったと伝えられています。津田永忠と熊沢蕃山の弟である泉仲愛が総奉行に任命され、藩学の建設と運営を担いました。

教育内容と運営

光政自身は陽明学を学んでいましたが、藩学では幕府が正学としていた朱子学を中心に教育が行われました。専任の講師や授読師による授業は、小学、四書五経などの誦読と講習が中心でした。合間には武技の演習も行われていたようです。学校奉行が設置され、藩学の運営にあたっていました。初代学校奉行には、建設に尽力した津田永忠と泉仲愛が任命されました。

衰退とその後

廃藩置県となった明治4年（1871年）に閉校するまで、岡山藩藩学は存続しました。閉校後は明治9年（1876年）に岡山県師範学校、明治44年（1911年）には岡山県女子師範学校へと変わっていきました。しかし、藩学の建物は徐々に撤去され、大正後期には南門、校門、講堂などが残るのみとなりました。大正11年（1922年）3月8日には国の史跡に指定されましたが、昭和20年（1945年）6月29日の岡山空襲によって、泮池と橋を除く全ての建物が焼失するという大きな被害を受けました。戦後、残っていた校門や講堂の基礎も埋め立てられ、現在は岡山市立岡山中央中学校となり、周辺は市街地となっています。

校舎と敷地

岡山藩藩学の敷地の規模は、南北202.5メートル、東西110.7メートル、面積2.24ヘクタールに及びました。儒教思想に基づき、校舎は整然と対称的に配置されていました。南門、泮池、校門、講堂、中室、食堂が中心軸に沿って南から北に配置され、東側には塾と文学舎、西側には演武場舎が対称的に建てられていました。さらに、学校奉行屋敷、講師宿舎、学生宿舎、馬場なども敷地内にありました。

生徒数

初期の定員は小生161名、小侍者67名とされていました。しかし、藩財政の逼迫により、天和3年（1683年）から元禄15年（1702年）の間は定員が63名に減らされ、就学者数も減少しました。文政・天保年間（1815年～1842年）頃には最盛期を迎え、最大242名の就学者を数えたとされています。藩士の子弟が主な対象でしたが、光政は農民の子弟にも門戸を開き、篤志の者には名字帯刀と学費給付の特典を与えていました。

まとめ

岡山藩藩学は、日本における教育史、そして岡山藩の歴史において重要な役割を果たした施設でした。その歴史的価値は高く評価されており、現在も史跡としてその存在を伝えています。わずかに残る遺構とともに、藩学の歴史を後世に伝えることが重要です。

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