岡崎晴夫

日本の俳優、岡崎晴夫は、戦前の日本映画、特に時代劇の世界で重要な脇役として活躍しました。本名は川端淸次といい、表記ゆれとして岡崎春夫という名前も見られます。生没年は不詳ですが、生涯についてはいくつかの資料に記録が残されています。

来歴

岡崎晴夫の生年月や出生地にはいくつかの説があります。一般的には1904年（明治37年）3月、京都府京都市上京区大将軍で生まれたとされています。しかし、1928年および1929年に発行された当時の『日本映画俳優名鑑』では、生年が1903年（明治36年）と記されており、資料間で食い違いが見られます。また、出生地についても、京都市上京区大将軍とする説の他に、現在の京都府木津川市木津にあたる京都府相楽郡木津町とする説も存在します。

学業においては、現在の東京電機大学の前身である東京電機学校で学んだ後、俳優の道を志し、日本映画俳優学校で学びました。卒業後はすぐに映画界に入ったわけではなく、大阪の文楽座や新劇の舞台で経験を積み、また宣伝映画にも出演していた時期があります。

1925年（大正14年）9月、日活大将軍撮影所に入社し、本格的に映画俳優としてのキャリアを開始しました。日活時代はサイレントの時代劇を中心に、中堅俳優として数多くの作品に出演し、頭角を現します。翌1926年（大正15年）に公開された辻吉郎監督作品『修羅八荒第三篇』をはじめ、精力的に活動しました。

日活在籍中も順調にキャリアを重ねていましたが、一時的に映画界を離れることを選択し、再び舞台での活動に戻っています。

数年後、再び映画界に戻り、1929年（昭和4年）9月には松竹下加茂撮影所に移籍しました。ここでは伊藤大輔監督の『斬人斬馬剣』などに出演しましたが、再び舞台に戻った後に、日活太秦撮影所へ再移籍しています。

その後も日活太秦、そしてトーキー時代を迎えた日活京都撮影所などで活動を続けました。1937年には今井映画製作所作品にも出演しています。

しかし、1937年（昭和12年）8月25日に公開された今井映画製作所制作、下村健二監督の映画『怪奇江戸川乱山』が、現在確認できる最後の出演作品となっています。これ以降、岡崎晴夫の出演記録は一切見つかっていません。そのため、俳優としての活動を終えたのか、あるいは別の理由によるものか詳細は不明であり、没年も不詳のまま、その後の消息は途絶えています。

戦前の日本の時代劇映画を支えた名脇役の一人として、多くの作品で印象的な演技を見せました。

主な出演作品

岡崎晴夫が出演した主な作品は以下の通りです。

日活大将軍撮影所

（特筆以外はサイレント、製作：日活大将軍撮影所、配給：日活）

- 『赤城颪国定忠次』（『国定忠次』）：1925年12月31日公開 - 三ツ木文蔵
- 『虚無僧』：1926年1月22日公開 - 大川左門
- 『修羅八荒第一篇』：1926年2月15日公開 - 三輪滝太郎
- 『修羅八荒第二篇』：1926年2月24日公開 - 三輪瀧太郎
- 『実録忠臣蔵天の巻地の巻人の巻』：1926年4月1日公開 - 勝田新左衛門武堯
- 『修羅八荒第三篇』：1926年4月15日公開 - 三輪滝太郎
- 『義に鳴る虎徹』：1926年7月1日公開 - 手代庄之助
- 『日出づる国の武士』：1926年7月14日公開 - 高橋五郎（大橋右門）
- 『修羅八荒第四篇』：1926年8月29日公開 - 三輪滝太郎
- 『修羅八荒第五篇』：1926年8月29日公開 - 三輪滝太郎
- 『修羅八荒最終篇』：1926年8月29日公開 - 三輪滝太郎
- 『新作膝栗毛』：1926年9月12日公開 - 早風秀之進
- 『修羅王前後篇』：1926年12月31日公開 - 桐田弥四郎
- 『獅子吼』：1927年3月20日公開 - 国島善之助
- 『大久保彦左衛門』：1927年4月15日公開 - 中川清十郎
- 『馬鹿らしき哉』：1927年7月8日公開 - 役名不明
- 『狐火』：1927年7月8日公開 - 小島鉄弥
- 『忠次旅日記信州血笑篇』：1927年8月14日公開 - 板割の浅太郎
- 『増補改訂忠臣蔵天の巻地の巻人の巻』：1927年9月1日公開 - 勝田新左衛門武堯
- 『落花の淵』：1927年9月8日公開 - 長沼

日活太秦撮影所

（特筆以外はサイレント、製作：日活太秦撮影所、配給：日活）

- 『建国史尊王攘夷』：1927年10月1日公開 - 頼三樹三郎
- 『砂絵呪縛第二篇』：1927年11月3日公開 - 天目党隊士杉生右門
- 『砂絵呪縛完結篇』：1927年12月15日公開 - 天目党隊士杉生左門
- 『忠次旅日記御用篇』：1927年12月27日公開 - 板割の浅太郎
- 『無宿の大名』：1928年3月1日公開 - 役名不明
- 『江戸三国志第一篇』：1928年3月1日公開 - 四ツ目屋新助
- 『続水戸黄門』：1928年4月15日公開 - 楠郎党当神宮寺正家
- 『江戸三国志第二篇』：1928年5月5日公開 - 四ツ目屋新助
- 『江藤新平』：1928年6月21日公開 - 中山一郎
- 『新版四谷怪談』：1928年7月6日公開 - 佐藤与茂七
- 『江戸三国志第三篇』：1928年8月3日公開 - 四ツ目屋新助
- 『残されしもの』：1928年8月26日公開 - 龍三郎
- 『清水次郎長第一篇義侠篇』：1928年9月14日公開 - 増川仙右衛門
- 『維新の京洛』：1928年9月27日公開 - 杉山松助
- 『清水次郎長第二篇血苦笑篇』：1928年10月19日公開 - 増川仙右衛門
- 『清水次郎長第三篇髑髏篇』：1928年11月16日公開 - 増川仙右衛門

松竹下加茂撮影所

（特筆以外はサイレント、製作：松竹下加茂撮影所、配給：松竹）

- 『斬人斬馬剣』：1929年9月20日公開 - 若者文作
- 『命の灯』：1930年2月1日公開 - 京三郎

日活京都撮影所

（全てトーキー、製作：日活京都撮影所、配給：日活）

- 『敵討三都錦絵』（戦後改題『愛憎三都錦絵』）：1935年12月1日公開 - 与力後藤祐作
- 『お旦那半次』：1935年12月8日公開 - 手代新之助
- 『栗山大膳』：1936年11月12日公開 - 松平下総守

今井映画製作所

（全てトーキー、製作：今井映画製作所、配給：東宝映画）

- 『怪奇江戸川乱山』：1937年8月25日公開 - 同心村田

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