岡本道雄

岡本 道雄（おかもと みちお）氏は、1913年（大正2年）11月25日に京都府舞鶴市で誕生し、2012年（平成24年）7月24日に98歳でその生涯を終えた日本の医学者です。専門は脳神経解剖学であり、京都大学の総長として学術界に大きな足跡を残しました。

旧制第三高等学校を経て、1941年に京都帝国大学医学部を卒業。その後、同大学院で脳神経解剖学の特別研究生として研鑽を積み、1946年には「腫瘍の発育より観たる淋巴の解剖学」という論文で京都大学より医学博士号を授与されました。

医学者としてのキャリアは、三重県立医科大学、神戸医科大学での教授職を経て、1959年に母校である京都大学の教授に就任することから本格化します。京都大学では1970年に医学部長を務め、1972年に再任された後、1974年には大学の最高責任者である総長に就任しました。大学の発展に尽力した後、総長を退任します。

京都大学総長退任後も、岡本氏はその知識と経験を活かし、教育、研究、文化など幅広い分野で重要な役割を担いました。京都造形芸術大学の学長、国際高等研究所の所長、政府の臨時教育審議会会長、医道審議会会長、科学技術会議議員、京都文化博物館館長など、多くの要職を歴任しました。また、京都大学名誉教授の称号に加え、京都造形芸術大学名誉学長、国際高等研究所特別顧問、神戸市立中央市民病院名誉院長、日独文化研究所理事長・所長なども務め、晩年には特定非営利活動法人日本政策フロンティアの最高顧問にも就任しています。

長年の功績が認められ、日本からは勲一等旭日大綬章を、ドイツ連邦共和国からは功労勲章大功労十字星章を受章しています。

2012年7月24日、慢性心不全のため逝去。その功績に対し、没後従三位が追叙されました。

岡本氏は、専門である脳神経解剖学に関する研究のほか、教育や社会問題に関する多くの著作や翻訳、編著にも携わりました。主な著作・訳書には以下のようなものがあります。

著作

『脳の研究』技術同友会（1982年）
『がん対策について』技術同友会（1983年）
『大学の内と外 脳・科学技術・教育と人間』里文出版（1986年）
『立派な日本人をどう育てるか』PHP研究所（2001年）
『人生はわからない 90歳にして語る医療と生き方』法研（2004年）

翻訳

Brodal Alf著『神経学の基礎と臨床』金芳堂（1961年）
Johannes Sobotta著『図説人体解剖学』医学書院（1968年、1974年 第2版）

共編著

岡本道雄・草間敏夫 編『脳の解剖学』朝倉書店（1971年）
岡本道雄・三輪泰司ほか 編『河野卓男 学研都市と京都の未来』地域計画建築研究所（1994年）
岡本道雄・井村裕夫 編『シリーズ転換期の医学』（1-3巻）岩波書店（2004年）

共訳

Frithjof Hammersen著『実習人体組織学図譜』医学書院（1977年以降 第4版まで）

監訳

Sobotta著『図説人体解剖学』医学書院（1985年 第3版、2002年 第4版、2002年・2006年 第5版）

私生活では、陸軍中将大城戸三治氏の娘である岡本彰子氏を妻として迎えました。

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