生まれたところを遠く離れて

浜田省吾『生まれたところを遠く離れて』

『生まれたところを遠く離れて』は、1976年4月21日にリリースされた浜田省吾のファーストアルバムです。同時に発売されたデビューシングル「路地裏の少年」とともに、彼の音楽キャリアの幕開けを飾る作品となりました。

背景

当時、浜田省吾はロックバンド「愛奴」のドラマー兼ヴォーカリスト、そしてソングライターとして活動していました。しかし、自身のドラムの技量やバンド活動の困難さ、音楽性の違いなどからバンドを脱退し、ソロ活動を開始します。本作は、ソロとして初めて制作されたアルバムであり、浜田自身も「これが最初で最後のソロ・アルバムになるだろう」という覚悟で制作に臨んだと言われています。

アルバム収録曲は全て浜田省吾自身が作詞作曲を手掛け、編曲にも携わっています。レコーディングはほぼ一発録りに近い形で行われ、愛奴時代のメンバーも多数参加しています。

しかし、周囲の評価は決して高くはありませんでした。吉田拓郎や泉谷しげるなどの先輩ミュージシャンからは、「こんな重いレコードじゃ売れない」「もっとポップな曲を作ればいいのに」といった厳しい意見も受けたそうです。実際に、発売当初の売上は1万枚にも届きませんでした。

プロデュースは、本作から1983年年のアルバム『Sand Castle』まで、当時所属していたホリプロの先輩で元モップスのドラマーである鈴木幹治（鈴木ヒロミツの実弟）が担当しました。鈴木は、現在に至るまで浜田省吾の重要な音楽パートナーとして活動を共にしています。

ジャケット

裏ジャケットで浜田省吾と手を組んで歩いている女性は、彼の妻（当時は恋人）です。このジャケットの構図は、浜田が敬愛するボブ・ディランのアルバム『フリーホイーリン・[[ボブ・ディラン]]』を参考にしたものです。

収録曲について

アルバムには、デビューシングル「路地裏の少年」をはじめ、「青春の絆」「朝からごきげん」「雨上がりのぶるーす」など、全10曲が収録されています。

「路地裏の少年」は、シングルバージョンとアルバムバージョンで歌詞やアレンジが異なります。また、「青春の絆」は、2021年にシングル「この新しい朝に」としてリメイクされました。「朝からごきげん」は、愛奴脱退時に置き土産として作られた曲で、後に浜田自身もリメイクしています。「悲しい夜」は、1989年のアルバム『Wasted Tears』で、「街角の天使」は、アルバム『初夏の頃 〜IN EARLY SUMMER〜』でそれぞれリメイクされています。「生まれたところを遠く離れて」は、10分を超える大作で、後にシングル「イメージの詩」のカップリング曲としてリメイクされました。

評価と影響

発売当初は商業的に成功したとは言えませんが、現在では浜田省吾の原点として高く評価されています。都会に生きる若者の孤独や焦燥感、そして希望を歌った歌詞は、多くの人々の共感を呼びました。本作は、その後の浜田省吾の音楽活動の方向性を示すとともに、日本のロック史においても重要な作品として位置づけられています。

現在では、累計売上は20万枚を超えています。

参加ミュージシャンには、岡本あつお、秋本良一、ジョン山崎、青山徹、町支寛二など、錚々たるメンバーが名を連ねています。

外部リンク

* 生まれたところを遠く離れて SHOGO HAMADA OFFICIAL WEB SITE

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