AB'S

AB'S (エイビーズ)

AB'Sは、1982年に結成された日本のロックバンドです。そのメンバーは、SHŌGUNで活躍した芳野藤丸（ギター、ボーカル）、スタジオミュージシャンとして名高い松下誠（ボーカル、ギター）、元PARACHUTEの安藤芳彦（キーボード）、そして元スペクトラムのリズム隊、渡辺直樹（ベース）と岡本郭男（ドラム）という、錚々たる顔ぶれで構成されています。各メンバーが、それぞれ豊富な音楽キャリアを持ち、特に芳野は、西城秀樹や郷ひろみの楽曲でギター演奏を担当していたことでも知られています。

AB'Sの音楽の特徴は、ツインギターによるバトル、ノリの良いリズム隊、そして美しいコーラスワークです。芳野の本格的な英語歌詞のボーカルと、渡辺のファルセットボイスが融合した独特のサウンドは、多くのファンを魅了してきました。2005年には、キーボードが安藤から山田秀俊に交代、2019年にはベースが渡辺から目黒郁也に、キーボードが山田から竹越かずゆきに交代しています。また、2019年のツアーでは、遠山陽介がベースを担当するなど、メンバー構成に変化が見られます。

歴史

芳野藤丸は、1970年代に西城秀樹や郷ひろみ、バンバンなどの楽曲でギターを演奏し、SHŌGUNではドラマ「探偵物語」のテーマ「Bad City」を担当しました。1982年、芳野のファーストソロアルバム「YOSHINO FUJIMAL」のレコーディング参加メンバーを中心にAB'Sが結成されました。バンド名は、メンバーの血液型（芳野、松下、渡辺がAB型、安藤、岡本がA型）と、アルファベット順で上位に来ることから名付けられました。結成後、桑名晴子のレコーディングにも参加しています。

1982年12月にシングル「GIRL」でデビューし、翌1983年1月にはファーストアルバム「AB'S」をリリース。1984年にはロンドンでレコーディングされたセカンドアルバム「AB'S-2」を発表しました。このロンドンレコーディングがきっかけとなり、ファーストアルバム収録の「DEJA VU」がイギリスで12インチシングルとして発売され、UKアルバムチャートで100位以内にランクインしました。その後、松下誠が脱退し、1985年にはロンドン録音のサードアルバム「AB'S-3」をリリースしましたが、間もなく活動休止となりました。1988年には、芳野が新たに長谷部徹、松原秀樹、小島良喜を迎え、「AB'S-4」を発表しましたが、その後しばらく活動が途絶えました。

2003年、オリジナルメンバーでの活動を再開し、2004年にはミニアルバム「A5B3S」をリリースしました。2005年には、安藤に代わり山田秀俊がキーボードとして加入し、Crossover Japan '05での競演を最後に安藤は作詞家としてのみAB'Sに協力する形となりました。その後、メンバーそれぞれがスタジオやライブサポート、プロデュースなどの仕事を抱えながらも、2005年に「NEW」、2007年に「BLUE」と2枚のアルバムをリリースし、ライブツアーも実施しました。これらのアルバムは、タワーレコードの企画・販売でボーナストラックを追加、デジタルリマスター、HQCD仕様で再発されました。

2013年には、MOON RECORDS時代のアルバム4枚が金澤寿和監修のもとSHM-CD化、紙ジャケット仕様で限定販売され、ライナーノーツには芳野と松下へのインタビューが掲載されました。2019年2月には、芳野、松下、岡本に加え、目黒郁也（ベース）、竹越かずゆき（キーボード）を加えた新編成で復活ライブを開催し、2020年には「AB'S-7」を発表。現在も精力的な活動を続けています。

エピソード

芳野藤丸のソロアルバムのライナーノーツによると、新田一郎がスペクトラム結成の際に、渡辺直樹と岡本郭男を紹介したのが芳野であったとされています。また、松下誠のファーストアルバムの音楽性に影響を受け、ソロアルバム制作に至った経緯も語られています。ライブツアーで配布されたフライヤーには、8曲目の「Can You Keep It Up?!」のレコーディング時、クリックなしで録音したため、イントロでメンバーがずっこけたというエピソードが紹介されています。2019年2月のライブ以降、「AB'S THE 3RD」という表記が使われることがありますが、これはオリジナルメンバーが揃っていた初期のアルバムを第一期、「New」以降を第二期と捉えていると推測されています。

ディスコグラフィー

（シングル、オリジナルアルバム、ミニアルバム、ベストアルバム、コンピレーションアルバム、DVDの内容については省略）

AB'Sは、その卓越した演奏技術と、時代を超えた音楽性で、多くの音楽ファンを魅了し続けているバンドです。

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