岡田實 (冶金学者)

岡田實（おかだ みのる）

概要

岡田實は、1904年3月7日に生まれ、1997年6月15日に亡くなった日本の冶金学者です。正三位の位階を持ち、プラズマ研究と超高電圧電子顕微鏡の開発において、世界的に注目される業績を数多く残しました。また、大阪大学の総長を務めるなど、教育者、研究者としても多大な貢献をしました。

生涯

香川県仲多度郡多度津町で生まれた岡田實は、1930年に東北帝国大学（現在の東北大学）金属工学科を卒業しました。その後、大阪帝国大学（現在の大阪大学）工学部に赴任し、助教授、教授として長年教鞭を執りました。1966年には大阪大学の総長に就任し、大学の発展に尽力しました。

研究面では、溶接工学研究所の設立に貢献するなど、その才能を発揮しました。1945年から1949年、そして1954年から1955年まで溶接学会の会長を務め、学会の発展にも貢献しました。特に、1963年に島津製作所との共同研究で開発した500kVの高電圧電子顕微鏡、さらに日立製作所との共同で開発した3000kVの電子顕微鏡は、当時の最先端技術を駆使したもので、科学技術の発展に大きく寄与しました。この3000kVの電子顕微鏡は、1971年に大阪大学超高電圧電顕センターに設置され、その後の研究に大きく貢献しました。

学外活動にも積極的に参加し、日本学術会議会員、大阪府教育委員会委員長、関西セミナーハウス理事長などを歴任しました。これらの役職を通じて、学術界だけでなく、教育界、社会全体にも貢献しました。1965年には紺綬褒章を受章、1980年には勲一等瑞宝章を受章するなど、その功績は広く認められています。

1997年、肺炎のため93歳で生涯を閉じました。その死後、正三位に叙され、その功績が改めて称えられました。

業績

プラズマ研究: プラズマに関する研究で、基礎研究から応用研究まで幅広い分野で顕著な業績を残しました。
超高電圧電子顕微鏡の開発: 島津製作所、日立製作所との共同研究で、当時世界最高レベルの高電圧電子顕微鏡を開発し、材料科学の発展に大きく貢献しました。
教育への貢献: 大阪大学で長年教鞭を執り、多くの人材を育成しました。また、総長として大学運営に携わり、大学の発展に尽力しました。

受賞・栄典

1965年: 紺綬褒章
1980年: 勲一等瑞宝章
没後: 正三位

参考文献

井上勝敬「故岡田實先生の追悼学術講演会によせて」『高温学会誌』第24巻第6号、1998年11月、259頁、CRID 1570854174094218624、ISSN 03871096。
藤田廣志「岡田實先生を偲んで」『高温学会誌』第24巻第6号、1998年11月、271頁、CRID 1573105973907903232、ISSN 03871096。

岡田實は、科学技術の発展に大きく貢献しただけでなく、教育者としても多くの人々に影響を与えた人物でした。その功績は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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