岡田昌彰

岡田昌彰

岡田昌彰（おかだ まさあき、1967年生まれ）は、日本の学術界において土木史研究の分野を牽引する人物の一人です。現在は近畿大学理工学部社会環境工学科の教授として教鞭を執り、主に産業景観や土木遺産に関する研究に取り組んでいます。

茨城県日立市に生まれた岡田氏は、茨城県立水戸第一高校を卒業後、東京工業大学工学部土木工学科で学び、1991年に学士号を取得しました。さらに同大学院に進み、理工学研究科社会工学専攻にて研鑽を積んだ後、1996年に博士課程を修了し、「テクノスケープに関する研究」によって博士（工学）の学位を授与されました。この博士論文で扱われた「テクノスケープ」という概念は、その後の彼の研究活動における重要なキーワードとなります。

大学院修了後、岡田氏は様々な研究機関でその才能を発揮しました。日本学術振興会の特別研究員を経て、長大構造事業部や国土技術政策総合研究所沿岸海洋研究部で研究員として活動。さらに東京大学アジア生物資源環境研究センターでも研究機関研究員を務めるなど、幅広い視点から研究を深めました。これらの経験を経て、2003年からは近畿大学理工学部社会環境工学科に着任し、講師として教壇に立ち始めました。その後、2007年に准教授に昇進し、2013年からは教授として、後進の指導と自身の研究に精力的に取り組んでいます。

岡田氏の研究成果、特に産業景観に関する深い洞察は、国内外で高く評価されています。彼の博士論文をもとにした「テクノスケープに関する研究」は、2006年に日本造園学会研究論文部門で研究奨励賞を受賞しました。また、日本の石灰石砿山が生み出した産業景観に焦点を当てた著書『日本の砿都：石灰石が生んだ産業景観』（2017年）は、2018年に日本造園学会著作賞を受賞したのをはじめ、翌2019年には日本観光研究学会観光著作賞（一般）、さらに2020年には日本都市計画学会石川奨励賞も立て続けに受賞するという快挙を成し遂げました。これらの受賞は、産業景観という特定のテーマを多角的に掘り下げた研究の重要性を示すものです。さらに、2023年には『美しい英国の産業景観』がイギリス産業考古学会より特別賞を授与されるなど、その研究対象は日本国内に留まらず、海外の事例にも広がっています。

代表的な著作としては、初期の論文をまとめた『テクノスケープ：同化と異化の景観論』（篠原修編、鹿島出版会、2003年）、先に受賞歴で触れた『日本の砿都：石灰石が生んだ産業景観』（創元社、2017年）、そして『美しい英国の産業景観(テクノスケープ)』（創元社、2018年）などがあります。これらの著作は、土木構造物や産業遺産が織りなす景観に新たな価値を見出し、テクノスケープという視点からその魅力を論じており、多くの読者に影響を与えています。

岡田昌彰氏の研究室に関する詳細は、近畿大学理工学部のウェブサイトにある「景観工学研究室 岡田 昌彰」のページで確認することができます。

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