岡稔

岡 稔（おか みのる）について

岡稔は、日本の経済学者として広く知られ、特にソ連経済に関する研究において顕著な業績を残しました。彼は1924年8月31日に滋賀県で生まれ、1973年9月19日に49歳でこの世を去るまで、一橋大学経済研究所に所属し、その発展に寄与しました。

学生時代と早期の経歴

1942年、岡は東京商科大学（現在の一橋大学）に入学し、学生生活を送りました。在籍中、彼は高島善哉ゼミに参加し、同級生や同期には著名な経済人や文化人が多くいます。具体的には、元日本銀行総裁の速水優や元三和銀行頭取の川勝堅二、横浜国立大学の名誉教授である本間要一郎などが同級生でした。他のクラスの同期には俳優の久米明や、一橋大学名誉教授の関恒義が名を連ねています。

大学生活では、岡は日本共産党寄りの学生たちによる民主主義科学研究会（民研）に参加し、本間や佐藤定幸、韮沢忠雄らとともに重要な役割を果たしました。卒業後は母校の特別研究生となり、1949年に設置された一橋大学経済研究所のソ連経済研究部門に助手として着任しました。

一橋大学経済研究所での業績

岡は、のちに助教授として着任した野々村一雄や、多くの研究者と共に同部門でソ連経済研究の基盤を築きました。さらに、彼は1968年に教授に昇進し、以降は社会主義経済学会の幹事や、一橋大学の評議員なども務めました。しかし、彼の研究生活は1973年に肺がんで突然幕を閉じました。

学問的影響と指導

岡の指導を受けた学生には、千葉大学名誉教授の岩田昌征や法政大学名誉教授の萩原進などがいます。彼らは岡からの影響を受けて、その後の学問の世界での活躍が期待される存在となりました。

著作と翻訳

岡稔の著書には、1956年に出版された『ソヴェト工業生産の分析』や、1963年の『計画経済論序説 価値論と計画化』などが含まれています。また、1975年には『岡稔論文集』として上下巻が新評論から出版されました。これらの作品は日本の経済学界において重視され、現在でも参考にされています。

さらに、彼は他の著者と共著した書籍や、翻訳作業にも多く関わりました。1968年には『経済学全集 21 社会主義経済論』を手がけ、1982年にはその第2版も出版されました。翻訳に関しては、M.ドッブの『政治経済学と資本主義』や、アレクサンダー・M.バイコフの『ソヴェート同盟の経済制度 上巻』などがあり、広範囲にわたる知識を日本に紹介しました。

評価と遺産

岡稔は彼の業績により、第6回日経・経済図書文化賞を受賞しました。彼の残した文献や教えは、今でも多くの研究者や学生に影響を与えており、経済学の理解と発展に貢献し続けています。岡の存在は、ソ連経済研究の重要な一部分として、これからも評価されることでしょう。

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