岡部宣勝

岡部宣勝：武功と善政で名君と謳われた武将

岡部宣勝は、江戸時代前期を代表する武将の一人です。美濃国大垣藩二代藩主、播磨国龍野藩主、摂津国高槻藩主を経て、和泉国岸和田藩初代藩主として活躍しました。従五位下美濃守に叙任され、岸和田藩岡部家二代当主でもあります。

華々しい戦功と転封劇

岡部長盛を父に持つ宣勝は、若くしてその智勇を認められました。慶長19年（1614年）の大坂冬の陣、翌年の大坂夏の陣では父と共に参戦し、幾多の戦場で武功を挙げました。寛永3年（1626年）には徳川家光の上洛に随行するなど、幕府からの信頼も厚かったことが窺えます。

寛永9年（1632年）、父・長盛の死により大垣藩を継承しますが、そのわずか3ヶ月後、播磨龍野藩へ転封となります。その後、寛永12年（1635年）には高槻城加番となり、翌年には高槻藩主へと転身。そして寛永17年（1640年）、8800石を加増されて和泉岸和田藩主となりました。

岸和田藩での善政

岸和田藩は、前任の松平氏による重税と悪政によって民衆の不満が蓄積していました。宣勝は着任当初、一揆の危険性を感じましたが、武力ではなく対話を選びました。領民の代表者と丁寧に話し合い、減税などの政策を実施。これにより、一揆を未然に防ぎ、安定した藩政を実現しました。ただし、法令違反は厳しく取り締まり、代表者であった庄屋は斬首されたという記録も残っています。

宣勝の治世は、単なる減税にとどまりません。岸和田城の石垣普請や城郭整備、社寺の建立など、城下町の開発にも力を注ぎました。民政にも熱心に取り組み、藩政の基礎を確立。その善政は領民から高く評価され、名君として称えられる所以となりました。

家光からの信頼と紀州徳川家

宣勝が岸和田に配された背景には、紀伊和歌山藩の紀州徳川家を牽制するという徳川家光による戦略があったと推測されています。家光からの絶大な信頼は、宣勝の能力と実績を物語っています。

茶人としての顔

戦場だけでなく、茶道にも造詣が深く、古田織部に師事し、「第一の門弟」と謳われたほどの茶人でもありました。武勇と教養を兼ね備えた人物像が浮かび上がります。

晩年とその後

寛文元年（1661年）、子の行隆に家督を譲り隠居。悠々自適の生活を送った後、寛文8年（1668年）、72歳でその生涯を終えました。大阪府岸和田市の泉光寺に墓所があります。

岡部宣勝は、武将としての輝かしい功績、そして民を思いやる善政、そして茶人としての教養と、多方面で才能を発揮した人物でした。その生涯は、後世の人々に深い感銘を与え続けています。

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