岩佐直治

岩佐直治

岩佐直治（いわさ なおじ、1915年5月6日 - 1941年12月8日）は、日本の海軍軍人であり、特殊潜航艇「甲標的」を用いた真珠湾攻撃の考案者の一人です。彼はこの攻撃に自ら参加し、戦死しましたが、その勇敢な行動が後に「九軍神」の一人として広く称えられました。最終的には二階級特進を受けて海軍中佐に昇進しました。

生い立ち

岩佐は群馬県前橋市にて、岩佐直吉とてるの5男として生まれました。彼の長兄である竹松は陸軍中尉として知られ、また、後に神奈川県知事となる内山岩太郎は従兄弟にあたります。

学業においては、前橋市中川尋常小学校から始まり、次に城南尋常小学校へ転校後、旧制群馬県立前橋中学校（現在の群馬県立前橋高等学校）を卒業。彼はその後、海軍兵学校（海兵65期）に進学し、1941年に卒業しました。

真珠湾攻撃

1941年12月8日、岩佐は部下の佐々木直吉と共に特殊潜航艇に搭乗し、ハワイの真珠湾に潜入し米海軍艦艇への攻撃を企図しました。しかし、彼と佐々木は戦死し、彼の決死の攻撃は後に評価されました。戦後、岩佐は死後もその名声が広まり、政治家たちが彼の実家を弔問するなどしました。

真珠湾で唯一成功した潜航艇とされる彼の艇は、米軍との交戦を経て撃沈され、その後引き揚げられました。中に亡骸が存在したとされ、近くの墓地に埋葬されたと伝わります。彼の遺族には回収された階級章も返還され、唯一の階級章が大尉であることから、これが岩佐の艇と確認されました。彼の墓は松竹院に建立され、また彼に捧げられた楽曲「軍神岩佐中佐」も存在します。

人物像

岩佐は剣道に秀で、海軍兵学校在学中に行われた大会で優勝した経験があります。剣道の段位は四段に達し、日中戦争でも白兵戦に参加しました。彼の愛刀は「関孫六」であったとされています。また、婚約者がいたものの、真珠湾攻撃に参加することが決まった際に、結婚を断念しました。

兄の直三郎もまた徴兵されて関東軍に所属し、その後ペリリュー島での戦闘において玉砕しています。

年譜

• - 1938年3月16日：海軍兵学校卒業（65期）、海軍少尉候補生。
• - 6月29日：「熊野」乗組。
• - 11月15日：任海軍少尉。
• - 12月1日：「鵯」乗組。
• - 1939年11月15日：任海軍中尉。
• - 11月20日：「比叡」乗組。
• - 1940年1月25日：「摩耶」乗組。
• - 5月31日：「鹿島」乗組。
• - 1941年10月15日：任海軍大尉。
• - 12月8日：真珠湾にて戦死、任海軍中佐、叙正六位。

参考文献

この項目の内容は以下の文献に基づいています。

• - 伊藤正徳『連合艦隊の最後』光人社NF文庫
• - 池田清『日本の海軍』（下）朝日ソノラマ
• - 牛島秀彦『九軍神は語らず』講談社文庫
• - 佐々木半九、今和泉喜次郎『決戦特殊潜航艇』朝日ソノラマ
• - 鳥巣建之助『日本海軍潜水艦物語』光人社NF文庫
• - 福田啓二ほか『軍艦開発物語』②光人社NF文庫
• - 中村秀樹『本当の特殊潜航艇の戦い』光人社NF文庫
• - 船津, 信章 編『命を捨てて―軍神岩佐中佐―』（第2版）有信館群馬支部、1990年2月8日。

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