岩室宗賢

岩室宗賢（いわむろ そうけん）

岩室宗賢は、正徳3年（1713年）に生まれ、寛政4年6月17日（1792年8月4日）に没した江戸時代の医師です。大江磐代の父であり、光格天皇の母方の祖父にあたります。第126代天皇である徳仁は9世孫にあたります。別名として常右衛門という名も持っていました。

生涯

岩室宗賢は、伯耆国倉吉（現在の鳥取県倉吉市）で生まれました。寛保3年（1743年）に主家である荒尾家を辞して浪人となりますが、その間の経緯は明らかになっていません。当時、宗賢は31歳であり、婚期も過ぎていました。一説には、正妻を迎えるにあたって両親や親戚が厳格であったため、あるいは「りん」という一商家の娘と内縁関係にあり、既に懐妊していた状態で周囲の抑圧から逃れるため、一大決心をしたとも言われています。また、武家社会の封建的な束縛に耐えられず、武士の身分を捨て、それ以上の身分や地位を得るために僧侶、医師、学者などを目指して自由になろうとしたという説もあります。

妊娠していた「りん」を説得し、京都に出た宗賢は、当時高名であった医師の馬陶賢の門下に入り、約10年間医術を学びました。その後、京都で開業する際に、師の名から一字を取り「宗賢」と改名したとされています。

故郷を出た翌年に生まれた娘の「つる」とその母である「りん」を迎えるため、宝暦2年（1752年）に倉吉に帰郷しました。しかし、「りん」は身分の差や家庭の事情からか、京都へ同行することを承知しませんでした。そのため、宗賢は9歳の「つる」だけを連れて京都に戻りました。京都での宗賢は、「つる」を禁中御使番の生駒守意の妻である寿仙に師事させ勉学に励ませました。自身は新町武者小路に住居を定め、医者として開業しました。

娘の「つる」が23歳の時、閑院宮妃の籌宮成子内親王に仕え、明和7年（1770年）には27歳で閑院宮典仁親王の側室となり、名も「磐代」と改めました。翌年、「磐代」は祐宮兼仁親王（後の光格天皇）を出産しました。

宗賢は後に聖護院に出仕し、二人扶持を受けました。天明7年（1787年）12月には法橋に叙せられ、寛政4年（1792年）6月17日に亡くなりました。

家系

岩室家の本姓は大江氏です。先祖は近江国甲賀郡岩室郷の地頭で、岩室進士と呼ばれており、それが姓の由来となっています。

岩室伊賀守重利は織田信長に仕え、八千石を領しました。その次男である重義は別所長治に従い、その子である岩室十兵衛義休は池田家の老臣である荒尾隆重に仕えて倉吉に来ました。この義休の三男である市郎右衛門が分家し、百五十石を受けました。その孫が常右衛門、すなわち後の宗賢です。

参考文献

森納『因伯の医師たち』1979年、53–55頁

関連項目

大江神社

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