岩手看護短期大学
岩手県滝沢市に本部を置いていた岩手看護短期大学は、1990年に設立され、2020年にその歴史に幕を下ろした私立短期大学です。
この大学の設置主体は学校法人岩手医科大学でした。当初は学校法人岩手女子奨学会により「岩手女子看護短期大学」として1990年に開学しましたが、2000年度からは男女共学に移行し、名称も「岩手看護短期大学」に改められました。短期大学としての学生募集は2016年度の入学生が最後となり、2020年9月2日をもって文部科学省より正式に廃止が認可されました。
大学の源流は、1921年3月16日に創設された盛岡実科高等女学校に遡るとされています。短期大学の設置が認可されたのは1989年12月22日で、翌1990年4月1日に看護学科（入学定員60名）のみで開学しました。開学当初から定員を上回る学生が入学し、順調に発展を遂げました。1998年4月1日には専攻科が設置され、地域看護学専攻（入学定員20名）と助産学専攻（入学定員15名）が開設され、より高度な専門教育を提供する体制が整えられました。
岩手看護短期大学は、岩手の医学教育の父と呼ばれる三田俊次郎氏の教育理念を継承する学校法人岩手女子奨学会の第2代理事長であった三田俊定氏によって設立されました。東北地方においては初めての私立の看護短期大学であり、衛生看護教育からさらに進んで、豊かな教養と専門的な技術を備えた看護研究者および実務者の育成を目指した大学教育が行われました。
岩手看護短期大学の建学の精神は「人間愛と奉仕の心」です。この精神に基づき、以下の三つの教育理念が掲げられていました。
豊かな教養と誠と信とに徹する人格の陶冶
高度の専門的知識と技術の習得
人類愛に基づいた社会の福祉・保健医療に寄与し得る人材の育成
これらの理念のもと、看護教育に重点が置かれ、学生は高い倫理観と専門知識、実践的な技術を習得しました。教育課程では、岩手医科大学附属病院や盛岡市立病院など、岩手県内の主要な医療機関の協力を得て臨床実習が行われ、現場での実践力を養いました。
大学には以下の組織が置かれていました。
学科：看護学科（入学定員60名）
専攻科：地域看護学専攻（入学定員20名）、助産学専攻（入学定員15名）
学生は卒業・修了により、以下の国家試験受験資格を得ることができました。
看護学科：看護師
専攻科地域看護学専攻：保健師
専攻科助産学専攻：助産師
附属機関としては、岩手看護短期大学図書館があり、図書館長の許可を得ることで学外者も利用することが可能でした。
岩手看護短期大学では、学園祭「紫桐祭」が開催され、看護技術に関するイベントや模擬店などが出展され、学生や地域住民との交流の場となっていました。また、岩手県看護職員養成所対抗バレーボール大会に参加するなど、スポーツ活動も行われていました。研究活動も行われ、『岩手女子看護短期大学紀要』や『岩手看護短期大学紀要』などの紀要が刊行され、教育・研究成果が発表されていました。
キャンパスは岩手県滝沢市大釜千が窪14-1に位置し、本館、2号館、3号館といった校舎のほか、標本室、駐車場、マルチメディアセンター、テニスコートなどの施設が整備されていました。交通アクセスは、JR東北本線盛岡駅からバスを利用し、「仁沢瀬」バス停留所で下車後、徒歩約5分程度の距離でした。JR田沢湖線大釜駅〜小岩井駅間からも見えましたが、駅からのアクセスは不便でした。
大学の象徴であるカレッジマークは、四つの菱形を組み合わせた中央に、大学名のイニシャルであるI・C・Nが記された丸い鏡を配したデザインでした。菱形は、岩手・青森両県にわたる旧南部領の藩主、南部家の紋章である武田菱をモチーフとしており、鏡は日本の女性の心を映し出すとされる古代鏡を意味していました。
岩手看護短期大学は、その前身校の創立者が岩手医科大学の前身とも関わりがあるなど、岩手医科大学と深い関係がありました。また、系列校として岩手女子高等学校がありました。
卒業生たちは、全国各地の医療機関に就職しました。岩手医科大学附属病院や盛岡赤十字病院といった地元だけでなく、東京医科大学病院、聖マリアンナ医科大学病院、聖路加国際病院、東北大学医学部附属病院、東京女子医科大学附属病院、順天堂医院など、首都圏をはじめとする他地域の有名病院にも多くの卒業生を輩出しました。また、さらに学びを深めるために、自校の専攻科に進学するほか、北海道教育大学、山形大学、新潟大学、金沢大学、岩手県立大学などの国公立大学や、北海道医療大学、東海大学、聖隷クリストファー大学などの私立大学へ編入学する実績も多数ありました。
岩手看護短期大学は、短いながらも約30年の期間にわたり、地域社会および広く日本の医療を支える多くの看護専門職を育成し、貢献を果たしました。短期大学としての幕は閉じましたが、その教育の精神と卒業生たちの活躍は今後も引き継がれていくことでしょう。
概観と沿革
この大学の設置主体は学校法人岩手医科大学でした。当初は学校法人岩手女子奨学会により「岩手女子看護短期大学」として1990年に開学しましたが、2000年度からは男女共学に移行し、名称も「岩手看護短期大学」に改められました。短期大学としての学生募集は2016年度の入学生が最後となり、2020年9月2日をもって文部科学省より正式に廃止が認可されました。
大学の源流は、1921年3月16日に創設された盛岡実科高等女学校に遡るとされています。短期大学の設置が認可されたのは1989年12月22日で、翌1990年4月1日に看護学科（入学定員60名）のみで開学しました。開学当初から定員を上回る学生が入学し、順調に発展を遂げました。1998年4月1日には専攻科が設置され、地域看護学専攻（入学定員20名）と助産学専攻（入学定員15名）が開設され、より高度な専門教育を提供する体制が整えられました。
岩手看護短期大学は、岩手の医学教育の父と呼ばれる三田俊次郎氏の教育理念を継承する学校法人岩手女子奨学会の第2代理事長であった三田俊定氏によって設立されました。東北地方においては初めての私立の看護短期大学であり、衛生看護教育からさらに進んで、豊かな教養と専門的な技術を備えた看護研究者および実務者の育成を目指した大学教育が行われました。
建学の精神と教育
岩手看護短期大学の建学の精神は「人間愛と奉仕の心」です。この精神に基づき、以下の三つの教育理念が掲げられていました。
豊かな教養と誠と信とに徹する人格の陶冶
高度の専門的知識と技術の習得
人類愛に基づいた社会の福祉・保健医療に寄与し得る人材の育成
これらの理念のもと、看護教育に重点が置かれ、学生は高い倫理観と専門知識、実践的な技術を習得しました。教育課程では、岩手医科大学附属病院や盛岡市立病院など、岩手県内の主要な医療機関の協力を得て臨床実習が行われ、現場での実践力を養いました。
組織と資格
大学には以下の組織が置かれていました。
学科：看護学科（入学定員60名）
専攻科：地域看護学専攻（入学定員20名）、助産学専攻（入学定員15名）
学生は卒業・修了により、以下の国家試験受験資格を得ることができました。
看護学科：看護師
専攻科地域看護学専攻：保健師
専攻科助産学専攻：助産師
附属機関としては、岩手看護短期大学図書館があり、図書館長の許可を得ることで学外者も利用することが可能でした。
学生生活と研究
岩手看護短期大学では、学園祭「紫桐祭」が開催され、看護技術に関するイベントや模擬店などが出展され、学生や地域住民との交流の場となっていました。また、岩手県看護職員養成所対抗バレーボール大会に参加するなど、スポーツ活動も行われていました。研究活動も行われ、『岩手女子看護短期大学紀要』や『岩手看護短期大学紀要』などの紀要が刊行され、教育・研究成果が発表されていました。
キャンパスと象徴
キャンパスは岩手県滝沢市大釜千が窪14-1に位置し、本館、2号館、3号館といった校舎のほか、標本室、駐車場、マルチメディアセンター、テニスコートなどの施設が整備されていました。交通アクセスは、JR東北本線盛岡駅からバスを利用し、「仁沢瀬」バス停留所で下車後、徒歩約5分程度の距離でした。JR田沢湖線大釜駅〜小岩井駅間からも見えましたが、駅からのアクセスは不便でした。
大学の象徴であるカレッジマークは、四つの菱形を組み合わせた中央に、大学名のイニシャルであるI・C・Nが記された丸い鏡を配したデザインでした。菱形は、岩手・青森両県にわたる旧南部領の藩主、南部家の紋章である武田菱をモチーフとしており、鏡は日本の女性の心を映し出すとされる古代鏡を意味していました。
対外関係と卒業後の進路
岩手看護短期大学は、その前身校の創立者が岩手医科大学の前身とも関わりがあるなど、岩手医科大学と深い関係がありました。また、系列校として岩手女子高等学校がありました。
卒業生たちは、全国各地の医療機関に就職しました。岩手医科大学附属病院や盛岡赤十字病院といった地元だけでなく、東京医科大学病院、聖マリアンナ医科大学病院、聖路加国際病院、東北大学医学部附属病院、東京女子医科大学附属病院、順天堂医院など、首都圏をはじめとする他地域の有名病院にも多くの卒業生を輩出しました。また、さらに学びを深めるために、自校の専攻科に進学するほか、北海道教育大学、山形大学、新潟大学、金沢大学、岩手県立大学などの国公立大学や、北海道医療大学、東海大学、聖隷クリストファー大学などの私立大学へ編入学する実績も多数ありました。
岩手看護短期大学は、短いながらも約30年の期間にわたり、地域社会および広く日本の医療を支える多くの看護専門職を育成し、貢献を果たしました。短期大学としての幕は閉じましたが、その教育の精神と卒業生たちの活躍は今後も引き継がれていくことでしょう。
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