岩月謙司

岩月 謙司について

岩月 謙司（いわつき けんじ、1955年2月8日生まれ）は、日本の著名な生物学者であり、香川大学の元教授です。彼の専門分野は動物の生理学と行動学で、特に愛着理論を基にした人間関係に関する研究に力を注いできました。著作も多岐にわたり、社会心理学や対人関係学にも深い関心を示しています。

経歴

山形県村山市で生まれ育った岩月は、1973年に山形南高等学校を卒業し、その後1978年に早稲田大学教育学部理学科生物学専修を取得しました。さらに、1983年には筑波大学大学院博士課程で生物物理化学の研究を修了し、理学博士の学位を取得。彼の博士論文は「Physiological Studies on the Light-Induced Motile Responses in Paramecium」という題が付けられました。

大学院を修了後は、テキサス工科大学や日本石油化学株式会社の研究職を経て、1992年から香川大学での教職をスタートさせました。初めは専任講師として、1993年に助[[教授]]、1999年には教授に昇進します。

著作と思想

岩月は、生物学者としてミドリゾウリムシやオオマリコケムシの研究を行いながら、次第に社会心理学に焦点を移し、特に「思い残し症候群」という概念を提唱しました。これは、親から愛情を十分に受けられない子供たちが、大人になってから不倫や摂食障害などの行動に結びつく可能性があるという理論です。この理論を基に「育て直し」という心理療法を実践し、メディアでも取り上げられるようになりました。

しかし、治療法の内容は再養育療法として知られるものであり、彼の独自性が強調されることは少ないものの、実施中にトラブルが発生しました。彼が実施した複数の行為が問題視され、2006年には香川大学から懲戒解雇される事態に至ります。

岩月ブームと反響

2002年に放送されたドキュメンタリー『NNNドキュメント'02』が彼の名を広め、多くの人々が彼の著作に注目しました。著書『女性のオトコ運は父親で決まる』は特に売れ行きが良く、出版不況の中でも注目を浴びました。彼の著作は「確実に10万部が出る」と言われ、数多くの読者に影響を与えました。しかし、同時に彼に対する批判も高まり、特にインターネット掲示板では否定的な意見が多く見られました。

準強制猥褻事件

岩月は2002年に準強制猥褻事件で告訴され、2006年には実刑判決を受けました。彼はカウンセリングを名目に女性へ不適切な行為を行ったとされ、この事件は広く報道され、社会に衝撃を与えました。判決後、岩月は無罪を主張し続けましたが、最終的には執行猶予付きの懲役2年が確定しました。

結論

岩月謙司は、生物学者としてのキャリアと心理療法家としての行動が交錯した複雑な人物です。その業績は動物行動学や社会心理学の領域で評価されている一方、彼の行動に対しては批判が寄せられており、特に彼の治療法や手法に関しては賛否が分かれています。岩月の一連の出来事は、心理療法の実践における倫理的な問題を浮き彫りにするものとなりました。

もう一度検索