岷江

岷江（びんこう）

岷江は、中国の四川省を流れる河川であり、長江の左岸に合流する重要な支流です。古くは汶水とも呼ばれていました。全長は約735キロメートルで、長江の支流の中で最も水量が豊富です。

概要

岷江は、四川省北部のアバ・チベット族チャン族自治州に位置する岷山山脈の南麓を源流とし、松潘県、茂県、汶川県といった山岳地帯を流れます。その後、成都市の都江堰市で成都平原へと流れ込み、成都市や眉山市を通過し、楽山市で大渡河と合流します。最終的には、宜賓市で金沙江と合流し、長江となります。

肥沃な成都平原は、岷江とその支流によって形成された四川盆地の西部に位置し、中国南西部最大の平野です。

主な支流としては、黒水河、雑谷脳河、大渡河、馬辺河、錦江などが挙げられます。特に大渡河は、青海省を源流とし、全長1,155キロメートルに及ぶ大河であり、楽山市で岷江に合流します。大渡河は岷江の支流とされていますが、合流地点までの長さや水量は岷江を上回ります。

都江堰

岷江が山岳地帯から成都平原へ流れ出る地点には、戦国時代末期に秦によって建設された都江堰という水利施設があります。都江堰は、岷江の水を分水し、成都平原一帯の水害を防ぎ、灌漑や水運に利用するための施設です。2000年以上にわたり、成都平原の広大な農地を潤す水路網の起点として機能しており、その歴史的・文化的価値から世界遺産にも指定されています。

ダム建設と影響

都江堰の修繕や維持管理に加え、岷江流域では多数のダムが建設されています。中でも、汶川県の山間部に建設された紫坪埔ダムは、大規模な水資源開発事業として重要な役割を担っています。しかし、2006年に完成したこのダムは、チベット族の移住問題、環境への影響、都江堰への影響など、様々な懸念も引き起こしています。

岷江は、四川省の豊かな自然と人々の生活を支える重要な河川であり、その歴史と文化は深く結びついています。

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