成都平原

成都平原：肥沃な「天府の国」

成都平原（チェンドゥへいげん）は、中国西南部の四川省に位置する広大な平原です。別名「川西平原」とも呼ばれ、四川盆地の西部に広がっています。地元の方言では「川西垻子」とも呼ばれています。

地理的特徴

成都平原は、北は岷山山脈や九頂山脈が迫る綿陽市から、南は長江北岸の楽山市まで南北に広がっています。東は四川盆地を南北に走る竜泉山脈によって区切られ、西は成都市西部の広大な平原に続いています。具体的には、成都市の大部分（金堂県・蒲江県・竜泉駅区を除く）、徳陽市の一部、綿陽市の一部、楽山市の一部、眉山市の一部など、29の県市区にまたがり、総面積は約22,900平方キロメートルに及びます。

平原の中核をなすのは、成都市を中心とした一帯で、ここは岷江が山岳部から流れ出て形成した扇状地です。この扇状地の面積は約6,000平方キロメートルにも及びます。気候は亜熱帯に属し、土壌は紫色土が主体で、主要な農産物は水稲です。

「天府の国」

成都平原は、「天府之国」という異名を持つ豊かな地として知られています。この名は、単なる美称ではありません。三国時代の蜀の丞相、諸葛亮も、益州（四川盆地と漢中盆地を含む地域）を評して、「益州は険しい要害であり、肥沃な土地が千里に広がり、まさに天府の地である。漢の高祖劉邦は、この地を基盤として帝業を成し遂げた」と述べています。

この肥沃さの背景には、古代から続く灌漑システムがあります。特に重要なのは、都江堰市にある都江堰です。戦国時代に建設されたこの水利施設は、岷江などの河川から水を引いて平原全体を灌漑し、水害と旱魃から人々を守ってきました。都江堰の建設以降、成都平原は中国でも有数の豊かな農業地帯となり、その繁栄を支え続けています。

成都平原は、その肥沃な土地と戦略的な位置から、古来より重要な役割を果たしてきました。豊かな食糧生産は人々の生活を支え、政治的・軍事的な拠点としても機能しました。「天府の国」という名にふさわしい、恵まれた自然環境と人々の努力によって築き上げられた豊かな平原です。

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