岸川登俊

岸川登俊（きしかわ たかとし）氏は、1970年1月30日に東京都大田区で誕生した、日本の元プロ野球選手であり、後に読売ジャイアンツの打撃投手を長年にわたり務めた人物です。

アマチュア時代

安田学園高等学校に進学し、2年生の春からはチームのエースとして活躍しました。しかし、在学中に全国高等学校野球選手権大会、いわゆる夏の甲子園で最高成績はベスト8にとどまり、残念ながら聖地への出場は叶いませんでした。高校卒業後、岸川氏は地元の東京ガスに入社し、社会人野球でプレーを続けました。東京ガスでは、都市対抗野球にチームの主戦投手として出場する機会を得たほか、他のチームの補強選手として選出され、大舞台で先発マウンドを経験するなど、貴重な経験を積みました。当時の社会人野球界には、同じ左腕投手として富岡久貴氏のような注目選手もおり、岸川氏の存在はやや地味だったとも言われています。

プロ野球選手としての歩み

1994年のプロ野球ドラフト会議において、千葉ロッテマリーンズから6位指名を受け、プロ野球の世界に足を踏み入れました。入団当初は即戦力としての期待が高く、プロ1年目の1995年から主に中継ぎ投手として一軍で起用されました。プロ初登板は1995年4月4日、千葉マリンスタジアムで行われた福岡ダイエーホークス戦で、9回表に救援登板し、1イニングを無失点に抑え、初奪三振も記録しています。しかし、プロのレベルに適応するのに苦労し、目立った成績を残すことはできませんでした。1998年には、小島弘務氏、樋口一紀氏との交換トレードにより、中日ドラゴンズへ移籍しました。中日でも引き続き中継ぎとして起用され、希少な左腕投手として存在感を示しましたが、最速140km/hの速球を持ちながらも制球に課題があり、安定した投球を披露することが難しく、一軍定着には至らず二軍での調整期間が多くなりました。中日時代の1999年8月8日には、横浜スタジアムでの対横浜ベイスターズ戦で、打席に立った際に斎藤隆投手からプロ入り初安打となるセンター前ヒットを放つなど、珍しい記録も残しています。2000年には、今度は鈴木平氏との2対1トレードの一環として、河野亮氏とともにオリックス・ブルーウェーブへ移籍。オリックス時代には、当時左投手を苦手としていた西武ライオンズを相手に、プロ入り後初めて先発マウンドに上がる機会も与えられました（初先発は2000年7月19日、西武ドームでの対西武ライオンズ戦）。しかし、オリックスでもシーズンを通して活躍するまでには至らず、2001年シーズン終了後に球団から戦力外通告を受けました。現役続行を目指し、同年末の12球団合同トライアウトに参加しましたが、残念ながら獲得球団は見つからず、プロ野球選手としての現役生活に幕を下ろしました。プロでの詳細な年度別投手成績は、NPBの公式サイトなどで確認することができます。

第二のキャリア：打撃投手として

プロ野球界を去った後、岸川氏は新たな形で野球に関わり続けます。2002年、読売ジャイアンツからの要請に応じ、打撃投手として球団に入団しました。これ以後、実に16年もの長きにわたり、巨人の選手たちの練習を支える重要な役割を担いました。特に、母校の後輩にあたる主力捕手の阿部慎之助氏をはじめ、高橋由伸氏、長野久義氏、村田修一氏といったチームの顔となる選手たちの打撃練習や調整相手として、日々のトレーニングをサポートしました。長年の献身的な貢献が続きましたが、2017年シーズン限りで球団を定年退職することになります。その功労を称え、シーズン終了後の宮崎秋季キャンプ最終日には、当時の監督であった高橋由伸氏が自ら打席に立ち、岸川氏が最後の投球を行うという、感動的な退職セレモニーが執り行われました。

現在の活動

読売ジャイアンツを退団した後、岸川氏は野球界を離れてセカンドキャリアを歩んでいます。2018年10月からは、田口竜二氏が代表を務める白寿生科学研究所に勤務し、人材開拓課で新たな分野に挑戦しています。

その他の情報

プロ野球選手時代の背番号は、千葉ロッテでは59番（1995-1997）、中日では45番（1998-1999）、オリックスでは36番（2000）、34番（2001）と変遷しました。読売ジャイアンツの打撃投手としては、111番（2002-2006）、114番（2007-2009）、03番（2010）、202番（2011-2017）と、複数回変更しています。出身地は東京都であり、関連する人物や情報として、出身地の人物一覧や、所属したプロ野球球団の選手一覧などが挙げられます。

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