岸本尚毅

岸本 尚毅（きしもと なおき）について

岸本尚毅は1961年1月5日に岡山県に生まれ、著名な俳人としての地位を築いています。東京大学を卒業し、いくつかの名師に学びながら、特に赤尾兜子や波多野爽波に師事しました。彼は、若い頃から注目され、写生派の俳人としての評価が高く、現在も「天為」や「秀」の同人としてその活動を続けています。

経歴

岡山の和気町に生まれた岸本は、岡山大学付属の小中学校を卒業後、岡山県立岡山芳泉高等学校へ進学しました。中学校時代、芥川龍之介の影響を受けて俳句に目覚め、山本健吉の『現代俳句』や角川文庫の歳時記に親しみながら、1979年には東京大学法学部に進学しました。この年、赤尾兜子の主宰する句会「渦」に参加し、以降は小佐田哲男、山口青邨など、数々の名句会に参加するようになります。

1981年に赤尾兜子を失い、彼からの影響を受けながらも独自の道を進むこととなりました。彼は波多野爽波に師事し、1983年には東京大学を卒業。その後は東京電力に勤務しつつ、句会「木曜会」にも参加し、各地で句を詠み続けました。

1987年には岩田由美と結婚し、横浜に移住。その後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科に進学し、修了後も俳句の創作を続けました。1990年には有馬朗人のもとで「天為」が創刊され、彼も参加し、その後続々と受賞を果たし、2000年には田中裕明の「ゆう」にも参加しました。彼は、誤解を恐れずに言うなら、若手俳人の中でも屈指の才能を持つ、非常に優れた存在として評価されています。

業績と作品

岸本の俳句には多くの名句が存在します。「鶏頭の短く切りて置かれある」や「手をつけて海のつめたき桜かな」など、幅広いテーマを扱っています。彼の作品には、特に季語が重なる句が多く見られ、これにより深い情緒が醸し出されています。小川軽舟は、その様な形式について的確な分析を行い、岸本の句が持つ独自の質感について言及しています。

また、彼は俳句の新旧の境界を超え、あらゆる事情を生かしながら詩を紡いでいます。関悦史の言葉を借りれば、彼の句には物理的な質感やテンションが含まれ、時にはブラックユーモアが見られます。このような特徴によって、岸本の作品は一層魅力的なものとなっているのです。

受賞歴と著作

岸本は数多くの受賞歴があり、1991年には「青」同人賞を受賞、1993年には句集『舜』で俳人協会新人賞を受賞しました。さらに、評論においても高い評価を得ており、2009年と2012年には評論賞を受賞し、その専門性を広く認められています。

著書としての俳句集や評論は多岐にわたり、特に『鶏頭』や『舜』、また最近では『雲は友』が挙げられます。エッセイや選句集も手掛けており、俳句を通じた彼の視点が読み取れる貴重な作品群です。

現在の活動

現在も日本の俳壇で活躍しており、選考委員としても多くの賞に関与しています。俳句の世界で彼が作り出した変革は、後に続く世代にも影響を与え続けています。彼の作品を通じて、俳句の本質や美しさを感じることができるでしょう。

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