岸本賀昌

岸本賀昌は、1868年（明治元年）に沖縄県那覇で生まれました。彼は、沖縄県が日本に編入された後の激動期に、内務官僚、政治家として活躍した人物です。

1882年（明治15年）、岸本は第一回県費留学生として上京し、学習院、慶應義塾で学びました。慶應義塾では別科三級に入学し、その後正科を卒業しています。この留学経験は、彼の後のキャリアに大きな影響を与えたと考えられます。

帰郷後、岸本は沖縄県属として公務員のキャリアをスタートさせ、その後内務省地方局へと移りました。石川県参事官、沖縄県参事官、同事務官・第二部長などを歴任し、地方行政における経験を積みました。これらの経験を通じて、彼は地方行政の重要性を深く理解したことでしょう。

1912年（明治45年）、岸本は沖縄県最初の衆議院議員選挙に立憲政友会公認で出馬し、見事当選を果たしました。その後、憲政会、立憲同志会、立憲民政党など、政局の変化に合わせて所属政党を変えながら、衆議院議員を4期務めました。この間、彼は沖縄県選出の国会議員として、沖縄の発展のために尽力しました。

政治家としての活動以外にも、岸本は沖縄毎日新報社長、沖縄共立銀行頭取などを務め、沖縄の経済界にも貢献しました。1925年（大正14年）には那覇市長に選任され、市政運営にも携わりました。しかし、公務での上京中に病に倒れ、口腔癌のため慶應病院で亡くなりました。彼の突然の死は、沖縄県民にとって大きな損失でした。

岸本賀昌の生涯は、沖縄県の近代化の過程において、重要な役割を果たしました。彼の多岐にわたる活動は、沖縄の政治、経済、社会の発展に大きく貢献し、後世に大きな影響を与えています。彼の功績は、沖縄の歴史において特筆されるべきものでしょう。

参考文献:

• - 衆議院・参議院『議会制度百年史 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
• - 『近代日本研究 第4巻』 慶應義塾福澤研究センター、1986年。
• - 宮城栄昌著『沖縄の歴史』 日本放送出版協会、1968年。
• - 『沖縄県史 第24巻』 琉球政府、1977年。

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