島善鄰

島善鄰（しま よしちか）：リンゴの神様と呼ばれた農学者、教育者

島善鄰（1889年8月27日 - 1964年8月7日）は、日本のリンゴ栽培に多大な貢献をした農学者であり、教育者です。北海道大学の第6代学長を務め、その生涯をリンゴの研究と普及に捧げました。彼の功績から「リンゴの神様」とも呼ばれています。

生涯

1889年、島善鄰は広島県広島市で、陸軍軍人の父と母の間に五男として生まれました。8歳の時に父親を亡くし、岩手県（現・花巻市）へ移り住みます。盛岡中学（現・岩手県立盛岡第一高等学校）を経て、1914年に東北帝国大学農科大学（現・北海道大学）を卒業しました。

卒業後、星野勇三教授の推薦により青森県農事試験場の技師となります。当時、青森県では褐斑病の発生によりリンゴの生産量が激減していました。島はすぐに原因調査に着手し、以下の三大事業を中心としたリンゴ栽培改善事業を推進しました。

園地の整理
病害虫防除
地力の増進

従来の粗放な技術から労働集約的な技術への転換を指導することで、青森県のリンゴ産業を危機から救い、「リンゴの恩人」と称えられるようになりました。この功績は、日本のリンゴ栽培技術確立の礎となっています。1931年には、日本初のリンゴ技術体系をまとめた著書『実験リンゴの研究』を発表し、不朽の名著として高く評価されています。

また、彼は新しい品種の導入にも積極的で、1923年にはアメリカからゴールデンデリシャスの穂を導入しました。この導入が、後の「ふじ」や「つがる」といった日本を代表する品種の誕生につながりました。

1927年6月、島は北海道帝国大学の助教授に就任します。その後、1950年から1954年まで北海道大学の学長を務めました。退官後は弘前大学教授に就任し、同大学に農学部（現・農学生命科学部）を創設しました。1956年には、長年のリンゴ研究と指導の功績により紫綬褒章を受章しています。

1936年には、北海道大学より農学博士号を授与されています。論文の題は「リンゴ実腐病ノ研究」でした。

また、サクランボの品種「佐藤錦」の育成者である岡田東作が種苗業を始めるきっかけを作ったのは、島の勧めによるものと言われています。

1964年、島善鄰は生涯を終えました。墓所は花巻市の瑞興寺にあります。

親族

妻の浦子は、4代目瀬川弥右衛門の妹でした。

参考文献

デジタル版 日本人名大辞典+Plus『島善鄰』 - コトバンク
第46回：島善鄰(しまよしちか) ｜盛岡市
あー城下町弘前「島善鄰とリンゴ顕彰碑」 by 陸奥新報
* 平成15年度卒業式告示-弘前大学

島善鄰は、日本のリンゴ栽培史に名を残す偉大な人物であり、彼の功績は今も多くの人々に語り継がれています。

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