島恭彦

島恭彦の生涯と学術的業績

島恭彦（しま やすひこ、1910年6月5日 - 1995年9月28日）は、日本の経済学者であり、特に財政学の分野で卓越した業績を残しました。福井県敦賀市に生まれ、京都大学で経済学を修めた後、同大学で長きにわたり教鞭を執り、多くの研究者を育成しました。その専門は財政学に留まらず、経済思想史、地域経済など多岐にわたり、その幅広い知識と深い洞察力は、学界内外で高く評価されています。

学歴

島恭彦は、滋賀県立膳所中学校、第八高等学校を経て、1934年に京都帝国大学経済学部を卒業しました。その後、同大学大学院に進学し、経済学の研究を深めました。1951年には、学位論文「日本資本主義と国有鉄道」により経済学博士の学位を取得しています。

職歴

1934年、京都帝国大学経済学部副手を皮切りに、講師、和歌山高等商業学校教授、京都帝国大学人文科学研究所助教授、同経済学部助教授と、着実にキャリアを積み重ねました。1949年には京都大学経済学部教授に就任し、1951年には同経済学部長も務めました。1974年に京都大学を定年退官後、京都大学名誉教授となり、専修大学教授として教鞭をとりました。1981年に専修大学を退職するまで、教育と研究に尽力しました。

研究内容と著書

島恭彦の研究は、財政学を基軸に、その周辺領域にまで及んでいます。特に、租税思想史、財政政策、地方財政、そして国家独占資本主義論など、多岐にわたるテーマに取り組んでいます。著書には、初期の『近世租税思想史』から、『財政学概論』、『軍事費』、『戦後民主主義の検証』、そして晩年の『自叙伝：忘れえぬ日々』まで、幅広いテーマを扱ったものが含まれます。また、『島恭彦著作集』（全6巻）には、彼の研究成果が体系的にまとめられています。

主な著書:

『近世租税思想史』（1938年）
『財政政策論』（1943年）
『財政思想の発展：官僚主義財政学批判』（1949年）
『日本資本主義と国有鉄道』（1950年）
『財政学概論』（1950年、1963年）
『現代地方財政論：危機の地方財政』（1951年）
『軍事費』（1966年）
『戦後民主主義の検証』（1970年）
* 『自叙伝：忘れえぬ日々』（1986年）

関連人物

島恭彦の学術活動は、多くの研究者との交流によって彩られています。大内兵衛は財政学の先駆者であり、島に大きな影響を与えました。また、松井清、山岡亮一は京都帝国大学経済学部の同級生で、親友として親交を深めました。宮本憲一は島恭彦の弟子であり、共に研究活動をしました。池上惇は、島が退官した後の京都大学財政学講座の後任として、その研究を受け継ぎました。

影響と評価

島恭彦の業績は、日本の財政学の発展に大きく貢献しました。彼の研究は、理論と現実の両面から財政問題を深く掘り下げ、政策立案にも大きな影響を与えました。また、彼の教育者としての功績も大きく、多くの優秀な研究者を輩出しました。島恭彦は、その幅広い知識と深い洞察力、そして卓越した研究業績により、日本の経済学界に確固たる地位を築いたと言えるでしょう。

まとめ

島恭彦は、財政学の研究に生涯を捧げ、その学術的業績は今なお多くの研究者に影響を与え続けています。彼の思想と業績は、現代の財政学を理解する上で欠かせないものとなっています。

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