島津久大

島津久大：日本の外交を彩った生涯

島津久大（1906年-1990年）は、日本の外交史にその名を刻んだ著名な外交官です。華族の名家に生まれ、東京帝国大学法学部卒業後、外務省に入省。長年にわたり、日本の外交の最前線で活躍しました。

華麗なるキャリアの始まり

島津久大は、島津忠済と田鶴子の次男として東京で誕生しました。父は島津久光の七男で、貴族院議員や宮内省宗秩寮審議官を務めた人物です。由緒ある家系に生まれた久大は、幼少期から高い教養と国際感覚を培い、外交官としての道を歩む素地を築きました。

1930年、東京帝国大学法学部政治学科を卒業すると、外務省に入省。イギリスでの書記生や留学、イギリス、中華民国での勤務など、若き日から国際舞台での経験を積みました。外務大臣秘書官やラングーン総領事などを歴任し、外交官としての能力を着実に高めていきました。

戦後の活躍と国際舞台での貢献

第二次世界大戦後も、久大の活躍は続きます。賠償庁次長、外務省政務局長、外務省大臣官房長などを歴任し、日本の復興と国際社会への復帰に貢献しました。また、ニューヨーク在外事務所長として、国際的な視点から日本の外交戦略に尽力しました。

1950年代後半からは、ニュージーランド、パキスタン、スペイン、タイ、カナダ、そして中華民国と、主要国の大使を歴任。それぞれの国の文化や政治を深く理解し、外交交渉において大きな成果を上げました。各国大使として活動する間、それぞれの国の文化や政治制度を深く理解することを心がけ、外交交渉を成功に導く手腕を発揮しました。

迎賓館長としての功績

外交官としてのキャリアを終えた後も、久大の活躍は止まりませんでした。1969年には日本国際問題研究所の理事長に就任。そして、旧赤坂離宮が改修されて迎賓館が完成すると、1974年には初代迎賓館長に就任しました。この役職においても、日本の外交と国際交流の促進に大きく貢献しました。

学問への貢献と晩年

久大は外交官としての仕事に加え、翻訳家としても活躍しました。エセル・ハワードの『薩摩国見聞記』やヘンリー・B・シュワルツの『薩摩国滞在記』など、明治時代の日本を描いた貴重な文献の翻訳を通して、日本の歴史と文化を海外に紹介する役割を果たしました。

1980年には勲一等瑞宝章を受章。1990年、84歳で死去しました。叙正三位。外交官、翻訳家、そして迎賓館長として、多方面で卓越した能力を発揮した島津久大の生涯は、日本の近代外交史における重要な一頁を飾るものです。

家族・親族

島津久大の家族もまた、日本の歴史において重要な役割を果たした人物が多数存在します。祖父は島津久光、父は島津忠済、兄は島津忠承など、名家としての歴史と伝統を受け継ぎ、その影響は久大の外交官としてのキャリアにも影響を与えたと考えられます。

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