島津久宝 (豊州家)

島津 久宝

島津久宝（しまづ ひさたか）は、享和元年（1801年）に誕生し、明治6年（1873年）に亡くなった薩摩藩の重要な存在であり、幕末の家老として知られています。別名として直次郎、愛次郎、藤次郎（藤十郎とも）などがあり、号は豊山です。

家系と背景

彼は島津久豊の三男である季久を祖とする島津豊州家の15代目の家系に属しています。父・島津久長も家老としてその地位を築いており、母は島津久大の娘です。彼の通称「豊後」は、家族に代々受け継がれてきた官名でもあり、家名としての立場も持っています。出身地は薩摩国黒木郷（現在の鹿児島県薩摩川内市祁答院黒木）で、家族である妻カネは山岡久宝の娘です。また、彼の子供には島津久典がいます。

経歴

島津久風が隠居すると、久宝は出水郷の地頭を兼任することになります。1834年には家督を継承し、島津斉彬に仕え始め、1850年には家老の地位に昇進しました。彼は勝手方や琉球方掛を任され、弘化2年（1845年）には城代家老としてその役職を確立します。

1858年、斉彬の死後、前藩主島津斉興の命により、久徴家老を罷免しましたが、その後彼自身は斉彬が推進した近代化政策から後退し、保守的な政策を実施するようになります。さらに、勤王家の月照を保護しなかったために、西郷隆盛は彼の窮地を感じて共に入水自殺を図る事態に発展しました。このような一連の政策は志士たちからの強い反感を招きました。

翌年、斉興が亡くなり、藩主忠義の実父である島津久光が実権を握ると、久光はかつての斉彬の政策を復活させようと試みましたが、久宝は罷免され、政治的に失脚してしまいました。

人物像

久宝の生没年は異説があり、誕生日は正月29日、没日は明治6年1月17日とされることもあります。芳即正が著した『島津斉彬』によれば、彼は斉彬にとって重要な存在であったとされ、西郷隆盛は斉彬の生存中に彼の解任を進言したことが記録されています。

映像作品への登場

久宝は複数のテレビドラマに登場しており、中でも1990年のNHK大河ドラマ『翔ぶが如く』では村松克己が、2008年の『篤姫』では中山克己と浅沼晋平が演じました。

参考文献

1. 『鹿児島市史三』
2. 『鹿児島県資料 島津斉宣・斉興公史料』

島津久宝は、幕末の薩摩藩の政治の中で重要な役割を果たし、彼の政策や行動は当時の志士たちとの関わりにおいても大きな影響を及ぼしました。彼の評価は様々であり、時代の波に翻弄されながらも、その存在感は今もなお色褪せることなく語り継がれています。

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