島津久豊

島津久豊：室町時代の武将、守護大名

島津久豊（しまづ ひさとよ）は、室町時代の武将であり、守護大名として薩摩・大隅・日向を治めました。島津氏の第8代当主であり、その生涯は波乱に満ちたものでした。

生い立ちと日向派遣

島津久豊は、島津氏第6代当主・島津氏久の次男として生まれました。母は佐多忠光の娘です。彼は、応永8年（1401年）頃、日向の伊東氏を牽制するため、穆佐城に派遣されました。しかし、伊東祐安の娘と結婚しようとしたことが、兄である当主・元久との不仲の原因となります。最終的には、祐安の娘との間に嫡子・忠国を儲けています。

家督争いと内乱

兄・元久の死後、甥の伊集院煕久が後継者となる予定でしたが、久豊はこれを認めず、鹿児島に乗り込み、強引に当主の座を奪いました。この強引なやり方が原因で、国内は久豊派と伊集院氏派に分かれて争うことになります。伊集院頼久や、総州家の島津久世などが対立し、戦乱が続きました。

和睦と国内統一

一時苦戦を強いられた久豊でしたが、応永23年（1416年）には和睦を名目に島津久世を討ち取り、戦局を有利に進めます。その後、伊集院頼久やその盟友も降伏し、後継者問題は決着しました。また、市来氏や入来院氏も久豊に従い、戦いの焦点は、総州家との争いに絞られていきました。最終的に、島津忠朝を降伏させ、総州家の拠点を平定し、薩摩半島の安定化に成功しました。室町幕府は当初、久豊の強引な家督相続に反対していましたが、最終的には島津氏を束ねたことを認め、守護職を与えました。

その後と死

応永30年（1423年）には、伊東氏への報復として日向へ出兵し、大淀川以南を奪還しました。しかし、その年に病を発し、2年後の応永32年（1425年）に鹿児島で病没しました。享年51歳でした。

子孫

久豊の死後、家督は嫡男の忠国が継ぎました。また、次男の用久が薩州家、三男の季久が豊州家、四男の有久が羽州家、五男の豊久が伯州家をそれぞれ興し、島津氏の発展に貢献しました。

系譜

父：島津氏久（1328 - 1387） - 島津氏6代当主
母：佐多忠光の女
妻： 寿山夫人（伊東祐安の女）
長男：島津忠国（1403 - 1470） - 島津氏9代当主
次男：島津用久（1410 - 1459） - 薩州家祖
妻：上原長門守の女
三男：島津季久（1413 - 1477） - 豊州家祖
妻：無染夫人（伊集院頼久の娘）
四男：島津有久（1423 - 1459） - 羽州家（後に大島氏）祖
母不詳
男：島津豊久（1421 - 1484） - 伯州家（後に義岡氏・志和池氏）祖
男：愚丘妙智 - 玉龍山福昌寺6代住持

参考文献

都城市史編さん委員会編『都城市史 通史編 中世・近世』都城市、2005年。
『島津歴代略記』（島津顕彰会　1985年）
新名一仁「応永期における島津奥州家の領国拡大と政治構造」『室町期島津氏領国の政治構造』（戎光祥出版、2015年） ISBN 978-4-86403-137-0

関連項目

伊集院頼久の乱
慈眼寺 (鹿児島市)
知覧城

島津久豊は、その強引な手法により家督を奪取し、国内を統一しましたが、その後の島津氏の発展の礎を築いた人物として、歴史に名を残しています。

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