豊州家

豊州家（ほうしゅうけ）

豊州家は、薩摩国守護大名である島津氏の分家の一つです。初代当主である島津季久（しまづすえひさ）は、島津宗家8代当主・島津久豊（しまづひさとよ）の三男として生まれました。季久は豊後守（ぶんごのかみ）を称していたことから、この家名が起こりました。

歴史

初代・季久の時代

初代当主の季久は、現在の鹿児島市に近い帖佐（ちょうさ）を領していました。この地は島津氏の本拠地である鹿児島に近く、重要な拠点の一つでした。

日向飫肥への移転

2代当主の島津忠廉（しまづただかど）の代になると、豊州家は日向国（現在の宮崎県）の飫肥（おび）に移ります。飫肥は当時、日向伊東氏（いとうし）と勢力を争う地域であり、豊州家は伊東氏からの攻撃に度々さらされることになります。

飫肥の喪失と家老職

5代当主の島津忠親（しまづただちか）の時代に、豊州家はついに伊東氏によって飫肥を奪われてしまいます。その後、7代当主の島津久賀（しまづひさよし）以降は、再び帖佐や黒木（くろき）の地頭として、島津宗家に仕えることになります。この頃から、豊州家は島津宗家の家老などの要職を務めるようになります。

幕末の動向

15代当主の島津久寶（しまづひさたか）も家老職に就いていましたが、島津斉興（しまづなりおき）の側近として、お由羅の方（ゆらのかた）とともに島津斉彬（しまづなりあきら）を排斥しようとしたため、失脚してしまいます。この事件は、薩摩藩の歴史において大きな転換点となりました。

庶流の改名

正徳年間（1711年～1716年）になると、豊州家の庶流は黒岡（くろおか）氏を名乗るよう命じられました。これにより、豊州家は本家と庶流に分かれて、それぞれが歴史を刻んでいくことになります。

歴代当主

島津季久（しまづすえひさ）（1415年 - 1478年）
島津忠廉（しまづただかど）（1439年 - 1490年）
島津忠朝（しまづただとも）（生没年不詳）
島津忠広（しまづただひろ）（1482年 - 1551年）
子：次郎三郎
養子：島津忠親（北郷忠相の子）
島津忠親（しまづただちか）（1504年 - 1571年）
子：島津朝久、島津盛久
島津朝久（しまづともひさ）（？ - 1593年）
子：島津久賀、長寿院（松平定行の室）
島津久賀（しまづひさよし）（1582年 - 1644年）
子：島津久基、島津久守
島津久守（しまづひさもり）
島津久邦（しまづひさくに）
島津久兵（しまづひさつわもの）
島津久智（しまづひさとも）
島津久起（しまづひさおき）
島津久中（しまづひさなか）
島津久長（しまづひさなが）
島津久寶（しまづひさたか）
島津久典（しまづひさのり）

略系図

太字は当主。実線は実子、点線は養子。
[　]はその氏の祖を意味する。

関連項目

薩摩藩

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