島津伊久

島津伊久は、南北朝時代から室町時代前期にかけての武将で、薩摩国の守護大名です。島津氏の7代目当主であり、総州家の2代目当主としても知られています。父は島津師久です。

島津氏は南北朝時代に、総州家と奥州家に分裂していました。伊久は、当初、叔父である奥州家当主・島津氏久と共に、九州探題の今川了俊に従い、征西府と戦いました。しかし、1375年に少弐冬資が了俊に暗殺されると、氏久とともに南朝に寝返り、水島の変を引き起こしました。

その後、1382年に薩摩守護に復職した伊久は、了俊に再び帰順します。1393年には、嫡男の守久と仲違いし、平山城を包囲される事態に陥りました。しかし、従弟である島津元久（大隅守護、奥州家・島津氏久の子）の仲介により和解し、見返りとして薩摩守護職と島津氏家宝、そして領地の川辺郡（硫黄島を含む）を元久に譲りました。

ところが、1400年、元久は養子としていた伊久の三男・久照と伊久の一族の女性とを突然離縁させます。さらに、元久が薩摩守護である伊久の領内に城を築き、支配を強めたことから、奥州家と総州家の関係は絶縁状態に陥りました。幕府は伊久を支持し、1401年には鶴田氏を除く渋谷四氏が伊久に味方し、元久と鶴田氏を菱刈へと追いやることに成功しました。しかし、1404年には幕府の仲介により両家は和睦しました。

1407年、伊久は平佐城にて生涯を閉じました。家督は嫡男の守久が継承しました。

島津伊久の生涯は、南北朝時代から室町時代という激動の時代を反映しており、一族間の内紛や対立、そして幕府の介入など、複雑な政治状況の中で生きた人物であったと言えるでしょう。

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