島津忠貫

島津忠貫について

島津忠貫（しまづ ただつら）は、江戸時代後期に活躍した薩摩藩士であり、重富島津家の3代目当主として知られています。また、越前島津家の18代当主でもあり、藩主一門の中でも重要な位置を占めていました。

生い立ちと家督相続

天明6年（1786年）11月8日、薩摩藩主一門である島津忠救の長男として誕生しました。母は島津貴澄の娘お道です。享和元年（1801年）11月28日、父・忠救の隠居に伴い、16歳で家督を相続し、重富島津家の当主となりました。

養子縁組と家督

忠貫は、藩主島津斉宣の五男である武五郎を養子に迎えましたが、武五郎は後に実家に戻りました。その後、文化6年（1809年）には、斉宣の三男である寛二郎（後の忠公）を新たに養子として迎えました。文化7年（1810年）には、初名の忠寛から忠貫へと改名しています。

文政8年（1825年）11月、養子の忠公が病弱であったため、忠貫は忠公の養子として又次郎（後の忠教）を迎えることを願い出ました。この養子縁組は、忠公の健康状態に対する懸念から実現しました。

家老職と隠居

文政9年（1826年）5月28日、江戸に参勤中の藩主斉興に代わり、島津久長に家老職に就くよう命令を伝えたとされています。これは、忠貫が藩の重要な役職を担っていたことを示しています。

天保2年（1831年）1月15日、忠貫は家督を養子の忠公に譲り、隠居しました。隠居後は静洞と号し、余生を過ごしました。慶應2年（1867年）12月14日に82歳で亡くなっています。

史料の発見

2007年には、鹿児島大学付属図書館が所蔵する玉里文庫の誠忠武鑑の裏打ち紙から、忠貫に仕えた奥右筆の日記が発見されました。この日記は、当時の藩の動向や忠貫の日常生活を知る上で貴重な史料となっています。

まとめ

島津忠貫は、重富島津家の当主として、また薩摩藩の藩士として、激動の時代を生きた人物です。彼の生涯は、養子縁組や家督の譲渡など、当時の武家社会における複雑な事情を映し出しています。また、彼の周辺の史料発見は、歴史研究に新たな視点をもたらすものとして注目されています。

参考文献

『越前（重富）島津家の歴史』（姶良町歴史民俗資料館　2004年）
『越前島津氏－その事歴と系譜』（杉本雅人/著　2010年）
『越前島津正統略系　草稿』（臼井徹/編）
林匡「島津氏一門家の成立--越前(重富)島津家を中心に」
* 林匡「島津氏の縁組--島津氏の縁組. 重豪・斉宣・斉興を中心に」

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