島田謹二

島田 謹二: 日本の比較文学の巨星

島田謹二（しまだ きんじ、1901年3月20日 - 1993年4月20日）は、日本の著名な比較文学者および英米文学の専門家であり、文化功労者としても名を馳せています。彼の研究と業績は、日本の文学教育に深く影響を与え、多くの後進の学者たちを育て上げました。

生い立ちと学歴

東京府で生まれた島田は、東北帝国大学の英文科を卒業しました。若い頃は主に英国詩を研究していましたが、時間が経つにつれて他のヨーロッパの詩や日本の詩歌にも関心を持つようになりました。戦前、彼は台北帝国大学の教授として赴任し、ここで英文学者矢野峰人と生涯にわたる交流を築きました。

教職と学問的業績

戦後、彼は東京大学教養学部で教授に就任し、新設された大学院の比較文学・比較文化専修課程の初代主任教官に就任しました。この場で、平川祐弘、芳賀徹、小堀桂一郎、亀井俊介をはじめとする多くの優れた人材を指導しました。1961年に定年退官後も、実践女子大学や東洋大学で教えるなど、活発な学問活動を続けました。1974年には、「日本における西洋文学の考究 -比較文学研究-」を完成させ、文学博士号を取得しました。

彼の経歴は評価され、1977年に日本学士院賞を受賞、1990年には菊池寛賞、1992年には文化功労者として認定されるなど、その影響力は広がりました。

主要な著作と影響

島田の名を広めた作品には、明治期の帝国海軍についての著作『ロシヤにおける広瀬武夫』や『アメリカにおける秋山真之』があります。特に1970年に著された『アメリカにおける秋山真之』は、日本エッセイストクラブ賞を受賞しました。彼はまた、司馬遼太郎との関係も深く、彼の作品『坂の上の雲』と関連して広瀬と秋山の描写において交流がありました。さらに、下村寅太郎の著作に対しても序・解説を担当し、その業績は広く認知されています。

人間性と私生活

島田には3人の子供がいましたが、男児2人は若くして事故や自殺で失ってしまいました。戦後は愛人と同居し、この私生活については一人娘である齊藤信子による回顧録『筏かづらの家 父・島田謹二の思ひ出』に詳しく記されているため、注目されています。また、隠し子についての噂もありましたが、実際には先妻の子供であり、隠し子はいなかったことが記録されています。

晩年と発展

彼は90歳に近づいても、元気に公の場での講演や交流を続け、文学への情熱を語り続けました。特に、自身の著作に対する思いを語る姿勢は多くの人々に感銘を与えました。1992年には文化功労者として表彰され、さらに彼の名を冠した島田謹二記念学藝賞が設立され、東大での比較文学研究に従事する若手学者たちに贈られることになりました。

まとめ

文学と教育の両面で影響を与え、数多くの後進を育てた島田謹二の業績は、今なお多くの人々に語り継がれています。彼の教え子たちや彼に影響を受けた多くの文学者たちがその足跡を大切にしていることは、その証でしょう。

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