崑崙丸

崑崙丸の歴史と最期

概要

崑崙丸（こんろんまる）は、日本の関釜航路で運航されていた鉄道連絡船です。この船は、1940年から1943年にかけて建造され、鉄道省の運営によって運用されました。船名は、中国にある崑崙山脈に由来しています。崑崙丸は、戦時下において非常に重要な役割を果たす一方で、悲劇的な運命を辿ったことで知られています。

開発の背景

関釜航路では、1930年代中頃から就航していた金剛丸型の鉄道連絡船が、急激に増加する旅客に対応しきれなくなっていました。特に日本軍や開拓団の増加により、混雑が深刻化していたのです。1940年には、年間200万人以上の旅客を輸送する状況で、乗客を積み残す事態が相次ぎました。このため、新しい船の建造が急務となり、金剛丸型とほぼ同じ構造の天山丸型の建造が決定されました。

崑崙丸の設計

崑崙丸の設計は、以前にも数多くの商船の設計を手掛けた檜垣定雄が担当しました。この船は、姉妹船の天山丸を上回る速力を持ち、戦前に建造された日本の商船の中で最も速い船の一つとなりました。崑崙丸は、旅客定員も増加しており、さらに多くの乗客を対応できるようになっていましたが、設計には戦時中の厳しい制約が影響を与えました。

就航とその後

崑崙丸は、1943年3月に竣工し、同年4月12日に運航を開始しました。しかし、運航開始からわずか半年後の1943年10月5日、下関から釜山に向けて航行中にアメリカ海軍の潜水艦「ワフー」の攻撃を受け、沈没してしまいました。

沈没の詳細

崑崙丸は、出航時に479名の乗客を乗せ、海を進んでいましたが、攻撃を受けた際の混乱から、船内は停電し、乗客は通常の避難体制を整えることができないまま、急速に沈没しました。この事件では、655名中583名が行方不明となり、非常に多くの死者が出ました。生存者の救助活動は非常に厳しい状況下で行われ、風速10-20mの暴風に見舞われていましたが、生存者の救助には限界がありました。

影響とその後の措置

政府は、崑崙丸の沈没を隠すことはできないと判断し、事件の詳細を10月7日に発表しました。この悲劇の結果、関釜航路の航行は大幅に制限され、旅客は軍人や公務員のみ、貨物も制限がかかりました。この事件は、鉄道連絡船として初の戦争犠牲者が出た事例として記録され、運航再開に向けての厳しい検討が行われました。

その他の犠牲者

崑崙丸の沈没時には多くの著名な人物も犠牲となっており、衆議院代議士の助川啓四郎や加藤鯛一、三重県会副議長の福島吉三郎などの名前が挙げられています。戦時中の多くの困難にもかかわらず、新聞発表は迅速に行われました。

結論

崑崙丸の悲劇は、当時の日本における海上輸送の危険性を象徴するものであり、戦争の熾烈さを物語っています。この事件の記憶は、今でも多くの人々に語り継がれており、戦争による無惨な影響の一例として語り継がれています。

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