金剛丸

金剛丸（Kongou maru）

金剛丸は、鉄道省が運航していた関釜連絡船の一つで、1936年に就航しました。この船は関釜航路の重要な役割を果たし、旅客輸送の効率を大幅に改善しました。特に、金剛丸は新たな技術を駆使することで、従来に比べて速く、快適な航海を提供したのです。

命名の由来

金剛丸という名前は、北朝鮮にある名山、金剛山に由来しています。この山は朝鮮半島のシンボルとも言える場所であり、その名を冠した船は重要な役割を期待されていました。

航跡

1903年に開設された関釜航路は、鉄道省が関与する形で1904年の国有化以降、大きな発展を遂げてきました。この航路は日本と朝鮮、さらには満州を結ぶ重要なルートであり、乗客や貨物の輸送量は年々増加していきました。1932年には満州国が建国されたことによって渡航制限が設けられ、こうした背景からさらなる輸送力の向上が求められるようになりました。

金剛丸は1936年に三菱重工業長崎造船所で建造され、速力は23ノットを超えるものでした。これは当時の日本商船の最高速度を記録しており、関釜夜行便の所要時間を8時間からわずか7時間に短縮する効果をもたらしました。

船体設計と技術革新

金剛丸の船首は、従来の型とは異なり、巡洋艦を意識したデザインが施されています。その上部は優雅な曲線を描き、船尾には装飾的なデザインが施されました。また、石炭を運ぶためにベルトコンベアを採用するなどの技術革新が講じられていました。さらに、船内の電力を世界で初めて全面的に交流化したことにより、発電機のサイズと重量を大幅に削減しました。このようにして、金剛丸は新たな時代の船として下地を固定しました。

客室と設備

金剛丸の客室は、主に夜間の航行を目的として設計されており、旅客の快適さを最優先しました。三種類の客室が用意されており、1等客室、2等客室、3等客室が整備されていました。また、乗降時の混雑を軽減するため、広々とした大ホールが設けられ、税関や検疫を受けるための機能も含まれていました。

就航とその後

金剛丸は1936年11月15日に正式に就航し、姉妹船の興安丸とともに関釜航路の乗客定員を倍増させました。これにより、渡航制限が緩和され、特に日本軍や開拓団の需要が急増しました。1937年の時点で、関釜間の旅客数は100万人を超え、1942年にはさらに300万人に達しました。

しかし、戦時中の影響で、金剛丸も多くの負担を余儀なくされ、他の航路でも運用されました。1945年5月27日、金剛丸は博多湾で機雷に触れ、浸水により座礁することになりました。

戦後の運命

戦後、金剛丸は1946年に引き揚げられ、修理の後に商船管理局により管理されました。1950年には朝鮮戦争の影響でアメリカ軍に傭船されましたが、1951年に座礁し、最終的には1953年に売却され解体されました。

現在の状況

現在、埼玉県さいたま市にある鉄道博物館では、金剛丸の模型が展示されており、その歴史を伝える役割を果たしています。また、戦争の厳しい現実を反映した金剛丸の物語は、当時の交通の重要性を再認識させるものとなっています。

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