崔圭夏

崔圭夏の生涯と政治的影響

崔圭夏（さい けいか、チェ・ギュハ）は、1919年に江原道原州市で生まれました。彼の祖父は成均館の学者であり、彼は歴史的な両班の家系に育ちました。彼は1937年に旧京城第一高等普通学校を卒業後、1941年には東京高等師範学校で英文学を専攻し卒業。教育職に就くものの、その後満州国で大同学院に入学し、1943年に卒業しました。

独立後、彼は京城師範大学の教授になり、続いて官吏としての道を歩み始めました。彼のキャリアは外務省からスタートし、通商局長や外務次官を経て、1975年には国務総理に就任します。朴正煕大統領が暗殺された後、崔は大統領権限代行となりましたが、金鍾泌への次期大統領就任の推薦は断られてしまいました。1979年12月6日、彼は大統領に就任し、約8ヶ月間に渡ってその職にありましたが、韓国の歴代大統領の中で最も短い在任期間でした。

崔の大統領としての任期は暗い状況に囲まれていました。彼は早期の改憲と民主化を約束しながらも、軍部の掌握をほとんどできず、結局全斗煥のクーデターを承認せざるを得ませんでした。このような中で、彼自身の意志に反して大統領という立場に置かれ、辞任を余儀なくされたことから、「非運の大統領」と評されることもあります。

大統領在任中、崔はサウジアラビアやクウェートを訪問するなど外交活動を行いましたが、帰国後には戒厳令の拡大を追認しました。全斗煥が新たに形成した国保委によって彼の権威は低下し、1980年に最終的に辞任を明らかにしました。

彼の政治キャリアは短いものでしたが、彼自身は国政や公務に対して誠実で謙譲な姿勢を貫いていました。特に、母国の国益を重んじ、質素な生活を送る姿勢は高く評価されています。また、彼は大統領退任後も国政諮問会議の議長を務め、国に貢献し続けました。歴代の大統領の中で暗殺や投獄といった危険に直面することなく、彼自身も家族も無事であった数少ない例とされています。

とはいえ、彼の後年には光州事件に関連して証人としての出席要求を拒否したために刑事告発されるという不名誉な事態が発生しました。2006年10月22日、崔は急性心不全のため死去し、87年の生涯を閉じました。

彼の功績や生涯は、映画やドラマにも描かれており、今なお彼の存在は歴史の中で影が薄いとはいえ、多くの人々に記憶されています。彼が大統領として在任していた時期の出来事は、韓国の歴史において重要な位置を占めているため、崔圭夏の人生を振り返ることは、韓国の政治史を理解する上で欠かせない要素となるでしょう。

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