大同学院

大同学院：満州国の官吏養成機関

大同学院は、1932年（大同元年）7月、満州国の首都・新京に設立された中堅官吏の研修機関です。「王道楽土」の建設を担う官吏の養成を目的とし、資政局訓練所を改称して設置されました。

概要

学院では、国務総理大臣の鄭孝胥や、満州国国務院総務庁長官の駒井徳三らが講義を担当し、官吏としての知識や教養を培いました。当初は満州国の官吏のみが入学資格を持っていましたが、後に協和会の職員など、特定の団体職員も対象となりました。五族協和の理念に基づき、日本人、満州族、漢族、朝鮮民族、モンゴル族など、多様な民族の学生を受け入れ、満州国の滅亡までに約4000人の卒業生を輩出しました。

卒業生の中には、満州国の理想を信じ、日本軍と対立する者もいました。彼らは、日本人を優先する人事や、満蒙開拓団の無計画な入植地の拡大に反対し、満州国の発展のために尽力しました。

1945年8月のソ連対日参戦による満州国崩壊時には、多くの卒業生が犠牲となりました。現在、京都市の妙心寺慈雲院では、彼らの慰霊式典が執り行われています。

組織（1940年時点）

総務部
総務科
教務科
訓育部
学生科
訓練科
統制部
統制科
指導科

著名な関係者

出身者

梁粛戎 (中華民国（台湾）の政治家。立法院長)
崔圭夏（大韓民国大統領）
黄鍾律 (大韓民国の官僚、政治家)
高在珌 (大韓民国の国会議員、弁護士)
権逸（韓国国会議員、満州国裁判官、在日本大韓民国居留民団中央団長）
竹下重人（弁護士）
森友三治 (官僚)
三原朝雄（国会議員）
楠美省吾 (衆議院議員)
角屋堅次郎（農林技官、衆議院議員）
中澤一夫 (浜松市助役、他財団法人浜松市公園緑地協会理事長)
佐治誠吉 (官僚、衆議院議員、滋賀県大津市長)
田畑金光 (民社党衆議院議員、いわき市長)
佐藤清郎 (ロシア文学者)
村山孚 (中国古典研究家)
市川清志 (都市計画家、教育者。工学博士)
梶川静雄 (労働運動家、実業家、衆議院議員)
川内亮通化県副県長（通化事件直前に処刑）

教職員

星野直樹
伊藤整一
平貞蔵
衛藤利夫 (満州文化史研究者、図書館員)
香川鉄蔵 (セルマ・ラーゲルレーヴ『ニルスのふしぎな旅』の邦訳者)
半田敏治 - 教授(哲学者、陸軍軍人)
佐藤慎一郎 - (中国史学者、評論家)
藤井重郎 - 学監(陸軍軍人)
松木侠 - 学院長(第8代鶴岡市市長）
駒井徳三 - 学院長(満州国国務院初代総務庁長官)

関連項目

満州国
満州国・関東州の高等教育機関
旧外地の高等教育機関

もう一度検索