崔瑀

崔瑀について

崔瑀（チェ・ウ）は、高麗時代の武臣であり、重臣として知られています。彼は大定6年（1166年）に生まれ、淳祐9年11月5日（1249年12月10日）に死去しました。彼は武臣政権の第6代執権者として名を馳せ、類まれな政治手腕と戦略を有した人物です。本名は瑀でしたが、後に怡と改名しました。

生い立ちと早期の活躍

崔瑀は崔忠献の長男として生誕し、青年期から父の影響を受けました。熙宗7年（1211年）には、国王熙宗による父の暗殺計画が持ち上がる中、彼は父を救出するために尽力しました。この失敗した計画がきっかけで、熙宗は廃位され、康宗が新たに王として擁立されました。

高宗6年（1219年）に父崔忠献が死去すると、崔瑀は徐々に権力を握るようになり、枢密院副使という役職を担い、国政に影響力を持つようになります。彼は父が集めた宝を王室に献納するとともに、先代から奪われた土地や財産を元の所有者に返す行動を取り、その姿勢で民心を得ることに尽力しました。また、冷遇されていた寒士を登用し、腐敗した官吏を罷免しました。

権力の拡大と対外問題

高宗9年（1222年）には、参知政事、吏部兼兵部尚書、判御史台使などのポジションを通じて名実共に独裁者となります。この時期、モンゴル帝国からの圧力が高まる中で、彼は北方の城防の強化や開京の治安対策に着手しました。しかし、モンゴルの使者が帰国途中に殺害される事件が発生し、高麗とモンゴルの関係は悪化しました。

この時期に彼は、自宅に政房を設置し、朝廷の人事を掌握することで、自らの権力を一層強化しました。高宗14年（1227年）には、彼に対する陰謀が発覚し、周演之の関与が明るみに出ましたが、熙宗は再び追放され、反乱者は厳しい処罰を受けました。彼はその後も大きな権限を持ち続けました。

遷都とその影響

高宗18年（1231年）には、モンゴル軍の侵略に直面し、彼の指導の下、朝廷は防御体制を整えましたが、崔瑀は地方の盗賊を官職に任命して自衛策を講じました。しかし、その後、彼は遷都を計画し、足元の悪化を恐れるようになります。この際、彼は江華島への移転を強引に進め、数々の抗議を無視しました。

高宗19年（1232年）に江華島に遷都が行われると、モンゴルの影響力を削ぐために多くのダルガチを殺害しましたが、その決定は高麗の国力を疲弊させる結果となり、反発を招きました。遷都によって賠償や資材の調達が困難になるなど、経済的な弊害も多く出ました。また、権力が強まる一方で、民衆との対立を深めてしまいました。

崔瑀は高宗29年（1242年）には晋陽公に昇格し、晩年にはモンゴル軍の侵略が国家を脅かす中でも、贅沢な生活を楽しんでいたとされています。彼は高宗36年（1249年）に死去し、匡烈公に追贈されました。崔瑀の生涯は、権力と暴力、政治の狡猾さを象徴するものとして後世に語り継がれています。

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