崔麟

崔 麟について

崔麟（チェ・リン）は1878年1月25日に生まれ、1958年12月に亡くなった日本統治下の朝鮮における重要な歴史的人物である。彼は天道教の幹部で、独立運動家から親日派に転向したことが知られており、その生涯は波乱に満ちている。

幼少期と学び

崔麟は咸鏡南道の咸興で生まれ、幼い頃から漢学を学んだ。その後、漢城に移り、開化派の青年たちとの交流を深めることで視野を広げた。1902年には、日本の陸軍士官学校を卒業した朝鮮出身の青年将校たちが中心となって発生した一心会組織事件に関与し、日本へ亡命することとなる。

教育と抵抗

1904年には、第一次日韓協約が締結され、崔麟は皇室特派留学生に選ばれ東京府立第一中学校に入学した。1905年、校長の「朝鮮人に教育は不必要だ」との発言に抗議して、同盟休校を実施したが、その結果として退学処分を受けた。その年、彼は日本留学生会を設立し、副会長を経て会長に就任する。続いて1906年には明治大学に入学し、在学中には朝鮮王朝を侮辱する内容の講演に対し抗議行動を行い、逮捕されることとなった。

天道教と独立運動

1910年に帰国した後、崔麟は独立運動を推進する天道教の信者となり、普成高等普通学校の校長を務める一方で「新民会」にも参加して活動を続けた。彼は1918年から、天道教の関係者と共に独立運動について議論し、1919年に三・一独立運動を構想した。彼は仏教界やキリスト教界の代表者を運動に参加させることや、独立宣言書の起草者を崔南善とすることなどを提案し、原則として大衆化・一本化・非暴力を掲げた。しかし、独立宣言書の朗読集会の直後に逮捕され、懲役3年の判決を受けた。

その後の活動

崔麟は1921年12月に仮出獄された後、日本の承認による自治論を主張し、自治運動組織「研政会」を復活させようとし、民族主義からの支持を集めた。1930年代半ばには、さらに親日的な立場を強め、1934年には朝鮮総督府の中枢院参議に任命され、日韓融合と大東方主義を打ち立てた親日組織「時中会」を設立した。

戦時下の活動

日中戦争及び太平洋戦争中、崔麟は国民総力朝鮮連盟の理事や朝鮮臨戦報国団の団長を務め、多くの講演を通じて国民に支援を呼びかけた。独立後の1949年には反民族行為処罰法により逮捕されたが、すぐに釈放された。その後、朝鮮戦争の際には拉北され、1958年に北朝鮮で亡くなった。

死後の評価

崔麟は、2002年に発表された親日派708人名簿や、2008年の民族問題研究所による親日人名辞典に名を連ね、多くの歴史的評価がなされている。彼は親日反民族行為者としても認定され、北朝鮮では民族の裏切り者として位置づけられている。崔麟の人生は、日本統治時代の朝鮮における複雑な歴史を物語っている。

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