嵐が丘 (1939年の映画)

映画『嵐が丘』について

映画『嵐が丘』（原題：Wuthering Heights）は、1939年に公開されたアメリカの恋愛映画です。この作品は、有名な作家エミリー・ブロンテによる同名の小説を原作としています。1950年には大映洋画部が邦題『嵐ヶ丘』で配給し、再公開の際には『嵐が丘』として知られるようになりました。

作品の概要

この映画は、ウィリアム・ワイラーが監督を務め、マール・オベロンとローレンス・オリヴィエが主演を飾っています。オリヴィエにとっては、この作品がアメリカ映画での初出演作でもあります。また、映画は第12回アカデミー賞で撮影賞（白黒作品）を受賞するなど、高い評価を受けました。

当時のユナイテッド・アーティスツの作品らしく、この映画は長い間版権が売却されることはなく、現在はメトロ・ゴールドウィン・メイヤーがその権利を保持しています。さらに、2007年にはアメリカ国立フィルム登録簿に「文化的、歴史的、美術に重要」として登録される運びとなりました。

ストーリーの概要

物語は、吹雪の中で道に迷った男ロックウッドが「嵐が丘」という宿に辿り着くところから始まります。そこには、ヒースクリフとその妻イザベラ、そしていくつかの使用人たちが暮らしていました。ロックウッドは、その夜、ヒースクリフが愛する女性キャシーを呼ぶ声を窓の外で聞き、興味を抱きます。そこで、自身が「嵐が丘」にまつわる過去の悲劇を知ることになります。

元々「嵐が丘」はアーンショーという慈悲深い男により所有されていました。アーンショーは貧しい孤児を保護し、ヒースクリフとして育て上げました。その後、アーンショーの娘キャシーは、幼馴染のヒースクリフを愛しますが、彼女の兄ヒンドリーがヒースクリフに対して嫉妬心を抱き、彼を厳しく扱います。キャシーは上流社会にも憧れ、裕福なエドガー・リントンに求婚されることになり、心は揺れ動きますが、実際にはヒースクリフに対する愛情を持ち続けていました。

しかし、ヒースクリフはキャシーの返事を聞く前に姿を消し、その後成功した紳士として戻ってきます。彼は復讐を誓い、ヒンドリーの借金を肩代わりすることで「嵐が丘」の当主となります。続いてエドガーの妹イザベラと結婚し、キャシーへの愛情を表し続けますが、キャシーは次第に衰弱し、心も体も疲れ果てます。

エレンの話のクライマックスでは、医師のケネスが「嵐が丘」に現れ、ヒースクリフとともにいた女性が吹雪の中で消えたと語るシーンがあります。ストーリーの最後には、ヒースクリフとキャシーの愛が時を超えて一緒になることが暗示されています。

キャストとスタッフ

この作品のキャストには、ローレンス・オリヴィエ、マール・オベロンの他、ジェラルディン・フィッツジェラルドなどが名を連ねています。映画はサミュエル・ゴールドウィンによって製作され、撮影はグレッグ・トーランド、音楽はアルフレッド・ニューマンが担当しました。

撮影中のエピソード

映画の撮影中、主役の二人は非常にストレスを抱えており、しばしば対立していました。オベロンは不満を露わにし、「オリヴィエが大嫌いだ」と打ち明けていたのです。このような緊張感の中、オリヴィエは舞台に出演していた愛人に悩みを相談し、それが意図しない結果を引き起こすこととなります。

『嵐が丘』は、恋愛の悲劇を描いた深い作品であり、エミリー・ブロンテの名作の映像化として、今日まで多くの人に感動を与え続けています。

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