川上隆朗

川上隆朗は、1938年に生まれ、日本の外交官として活躍した人物です。1961年に東京大学法学部を卒業後、外務省に入省しました。その後、フランス、イタリア、イギリス、ザイール（現在のコンゴ民主共和国）、国連代表部、OECD代表部など、数多くの海外勤務を経験しました。

外務省では、経済協力局政策課長や審議官といった要職を歴任し、1988年にはソ連特命全権公使に任命されました。1990年には経済協力局長に就任し、経済協力の分野でその手腕を発揮しました。その後、1994年には駐パキスタン大使、1997年には駐インドネシア大使として、それぞれの国との外交関係の発展に貢献しました。

2001年には国際協力事業団（JICA）の総裁に就任（2003年まで）し、国際協力の推進に尽力しました。退任後も、外務省参与や国際協力機構顧問として、引き続き国際協力の分野で活躍しました。2007年には国際開発高等教育機構の理事長に就任し、開発分野における人材育成にも貢献しました。

2013年には、長年の功績が認められ、秋の叙勲で瑞宝重光章を受章しました。これは、国家や社会への貢献が顕著な人物に贈られる勲章であり、川上隆朗の外交官としての功績が広く認められたことを示しています。

川上隆朗は、そのキャリアを通じて、国際協力、経済協力、そして外交の分野で重要な役割を果たしました。数多くの国での勤務経験を通じて、国際的な視点を養い、複雑な国際関係の中で日本が果たすべき役割を模索し続けた人物であると言えるでしょう。

入省同期には、佐藤行雄（駐オーストラリア・オランダ大使、北米局長）、兵藤長雄（駐ベルギー大使、欧亜局長）、村田光平（駐スイス大使）、柳井俊二（外務事務次官、国際海洋法裁判所判事）、小原武（駐イラン大使、中近東アフリカ局長）、久米邦貞（儀典長、駐ドイツ大使）、赤尾信敏（駐タイ大使、国連局長）など、その後の日本の外交を担うこととなる多くの人材がいます。

また、著書として『インドネシア民主化の光と影―寛容なるイラスム大国』を2003年に朝日新聞社から出版しており、専門知識に基づいた分析力で、インドネシアの政治や社会情勢について考察を深めています。

川上隆朗は、その外交官としての長年の経験と知識、そして国際協力への貢献を通じて、日本と世界の発展に尽くした人物として、今後もその名が語り継がれていくでしょう。

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