川崎マリエン

川崎マリエンは、神奈川県川崎市川崎区の東扇島に位置する多目的施設です。正式名称は川崎市港湾振興会館といい、公益社団法人川崎港振興協会によって運営されています。「マリエン」という愛称は、「マリン」（海）と「エントランス」（入口）を組み合わせた造語です。この施設は、川崎港の活性化を図るとともに、市民の皆様に憩いの場や交流の機会を提供することを目的としています。

建物は地上66メートルの高さを持ち、特に地上51メートルにある展望台は、川崎港や周辺地域の素晴らしい眺望が楽しめる人気のスポットとなっています。ここからは、行き交う船舶や広大な港湾施設、遠くには工場群の美しい夜景なども望むことができ、2014年には日本夜景遺産にも認定されました。展望台への入場は、2009年4月以降、無料で開放されています。展望台のすぐ下の9階には、港の景色を眺めながら食事ができる展望レストランも併設されています。

川崎マリエンは、港湾振興会館としての機能に加え、スポーツやレクリエーションを楽しめる施設も充実しています。広大な敷地内には、テニスコートやバーベキュー設備、体育館などが整備されており、市民の健康増進や交流の場として広く利用されています。特に2009年8月にはビーチバレーコートが新たにオープンし、砂の上でのスポーツも楽しめるようになりました。かつて建物内に川崎港の紹介を行うマリエンプラザという展示施設がありましたが、2006年前期に展示機器が撤去され、現在は利用されていません。

この施設で特に目を引く展示物の一つが、コミュニティホールに展示されている巨大なホオジロザメの剥製です。このサメは、京浜運河に迷い込んできたもので、雄としては世界最大級とされる体長4.8メートルを誇ります。公募によって「かわジロー」と名付けられたこの剥製は、来館者に強いインパクトを与えています。

川崎マリエンは、その特徴的な外観や立地から、映画やテレビドラマなどの撮影地としても頻繁に利用されています。建物の1階エントランスには、撮影で訪れた多くの俳優やタレントのサイン色紙が飾られており、ロケ地としての人気を物語っています。また、定期的に川崎みなと祭りが開催されるなど、港をテーマにしたイベントの拠点ともなっています。

環境技術の面では、2015年4月に東芝が開発した自立型の水素エネルギー供給システム「H2One」が実証実験として設置されたことも特筆されます。これは、再生可能エネルギーを活用した先進的な取り組みです。

川崎港一帯は、2017年10月7日に「みなとオアシス」として登録されており、川崎マリエンはその中心的な施設である「みなとオアシス川崎」の代表施設としての役割も担っています。

川崎マリエンへのアクセスは、公共交通機関と自家用車のいずれでも可能です。バスを利用する場合、JR川崎駅または京急川崎駅から市バスの川05系統に乗車し、「川崎マリエン」バス停で下車します。また、横浜駅東口（YCAT）からは、臨港バスまたは京浜急行バスの高速バスも利用でき、「川崎マリエン」で降りることができます。自家用車の場合は、首都高速湾岸線の東扇島出入口を利用するか、国道132号線を経由して川崎港海底トンネルを通るルートがあります。駐車場はマリエンの営業時間に関わらず24時間開放されていますが、1時間以上の駐車は有料となります。

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