川崎市営トロリーバス

川崎市営トロリーバスの歴史と概要

川崎市営トロリーバスは、川崎市交通局によって運営された公共交通の一つで、1951年に開業しました。このトロリーバスは、当時の市営バスよりも燃料コストが低いため、1950年に導入が決まりました。開業に先立つ1949年には運輸省へ新たな路線の開設申請が行われ、この中から一部区間が1950年に承認されました。

開業と運行

トロリーバスの運行は、1951年の3月に川崎駅前から中島一丁目、池上新田を経て桜本間（約3.65km）で開始されました。その後、路線は次第に延伸され、1967年には合計7.3kmの運行距離を達成しました。特に、1962年には川崎駅前から市民会館前、大島四丁目までの新たな区間も追加され、環状運転が開始されるなど、公共交通インフラとして重要な役割を果たしました。

しかし、昭和30年代後半に入ると、利用客が減少し始め、運営が困難になりました。これが収益悪化につながり、1967年5月には全線が廃止されることとなりました。この時点で、トロリーバスは日本国内での運行が終了し、市内交通の様相が変わることになります。この廃止によって、一部の車両は横浜市営トロリーバスに転用されるなどの措置がとられました。現存する車両の一部は、二子塚公園に保存されています。

路線と停留所

1967年当時の運行ルートは、川崎駅前から鋼管水江製鉄前までの7.3kmであり、いくつかの停留所が設定されていました。これらの停留所には、川崎駅前、市役所前、市民会館前などがあり、多くの市民に利用されていました。また、途中の大島四丁目から川崎駅前まではラケット状のループ線を形成しており、利便性が向上していました。

車両の概要

川崎市営トロリーバスで使用されていた車両は、さまざまなメーカーの試作車を含め多様でした。車両の型式には、100形から700形までが存在し、それぞれ異なる年に製造されました。特に100形は1951年製造の車両が多く、数回の車体更新を受けています。300形の一部は試作車を改造したものもあり、また500形や600形は新製された車両です。700形はトロリーバスが廃止された後、全車が横浜市営トロリーバスに譲渡され、旧トロリーバスの記憶を現在に伝えています。

現在の状況

現在、川崎市内で運行されている市バスの水江町線は、かつてのトロリーバスの運行ルートに近い部分を持ちます。このようにして、かつてのトロリーバス路線の歴史は、足元に残る交通インフラに引き継がれています。川崎市営トロリーバスは、公共交通の進化とともに、消えゆく歴史に今も息づいているといえるでしょう。

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