横浜市営トロリーバス

横浜市営トロリーバスの歴史と特徴

横浜市営トロリーバスは、1959年に横浜市交通局によって運営が開始された無軌条電車で、都市型トロリーバスの中で最も遅く開業したものでした。この路線は横浜市の起伏に富んだ地域を走る環状運転を行い、地域住民にとって重要な交通手段となりました。

開業と運行形態

横浜市営トロリーバスは1959年の7月16日に開業し、12台の車両でスタートしました。当初は常盤園前から横浜駅西口を経由して三ツ沢西町までの区間で運行されていましたが、同年の12月には三ツ沢西町から常盤園前までの区間が開通し、横浜駅を起点とする環状運転が実施されるようになりました。運行系統は101系統（内回り）及び102系統（外回り）と設定され、営業距離は9.5kmでした。また、開業以来ワンマン運転が導入されていたのも特徴的でした。

三ツ沢競技場での活躍

1964年の東京オリンピックでは、三ツ沢競技場がサッカーの会場として使われ、トロリーバスは選手や観客の輸送に大きく貢献しました。地域の交通インフラの一部として多くの人々に利用されていたトロリーバスですが、その後の経済状況の変化により、徐々に厳しい状況に直面します。

財政問題と最終運行

1963年には横浜市電が赤字を抱えたため、トロリーバスへと転換する計画が持ち上がりましたが、市長の変更によりこの計画は消えてしまいました。1961年度にはトロリーバス事業は黒字を出していましたが、財源としては十分ではなく、他の部門の赤字をカバーすることはできませんでした。また、国道1号と16号を通るため交通渋滞の影響を受け、運行に支障をきたすようになりました。

1966年には横浜市交通局が財政再建団体に指定され、「交通事業財政再建計画」に基づいて市電とともにトロリーバスの廃止が検討されました。そして1971年度にはトロリーバス事業も赤字に転落し、1972年3月31日に最終運行を迎えることになります。正式な廃止日は翌日4月1日でした。

廃止の理由は、モータリゼーションによる自動車の著しい増加が、慢性的な道路渋滞を引き起こし、トロリーバスと市電の運行が非常に困難になったことに加え、車両の維持管理にかかるコストも一因でした。トロリーバスは車体の更新時期を迎えていましたが、その費用は約1,200万円と高額であり、一方で標準的なバスは約350万円で済むため、財政的にも厳しくなっていました。

代替運行への移行

トロリーバスが廃止された翌日からは、横浜市営バスの201系統と202系統が代替運行を開始し、現在に至るまで市民の足として地域に根付いています。横浜市営トロリーバスは、その運行の歴史と地域への貢献を通じて、多くの市民に記憶され続けることでしょう。

車両の概要

トロリーバスには、主に100形の車両が使用されていました。開業当初の一次車（101-112）は、東急車輛製造によって製造され、セミクロスシートの車内を持つものでした。その後も製造され続け、おおよそ1967年まで使用されました。最終的には川崎市営トロリーバスの車両も譲り受け、運行が続けられました。

接続路線

横浜市営トロリーバスは、横浜駅西口を中心に、日本国有鉄道や京浜急行電鉄、相模鉄道、東京急行電鉄といった他の交通機関との接続も行っていました。このことから、多くの利用者がトロリーバスを利用し、横浜地域での交通の要として縁のある存在でした。

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