川崎市都市モノレール計画

川崎市都市モノレール計画について

川崎市では1970年代初めから1980年代初めにかけて、地域の公共交通の利便性を向上させるために、都市モノレールの建設計画が提案されました。この計画の主な目的は、川崎市北西部に存在する鉄道の空白地域を解消することでした。さらに、このモノレール路線は「川崎縦貫高速鉄道」と連動し、よりアクセシブルな交通ネットワークを形成するためのものでした。

概要

この計画では、溝の口駅、宮前平駅、登戸駅、新百合ヶ丘駅を結ぶ全長およそ38キロメートルの環状モノレールが構想されました。具体的には、これらの駅を8の字に結ぶルートによって、地域の交通の利便性を向上させ、利用者の生活をより快適にすることが目指されていました。しかし、計画には大きな課題がありました。それは、導入に必要な道路幅の確保と、経営主体の設立という2つの問題です。この課題が解決されなかったために、最終的に建設には至りませんでした。

計画の経緯

川崎市は、1973年に「川崎市における交通輸送機関の最適ネットワーク形成のための調査報告書」を策定しました。この中で、新百合ヶ丘から川崎駅、さらに臨海部を循環する川崎縦貫高速鉄道と併せて、高津区や多摩区をカバーするためのモノレール路線の提案がなされました。1976年には、より具体的なルート案の検討が行われ、環状モノレールの複数のルートが提案されました。この時の調査では、溝の口と宮前平を連結し、16の駅で構成される環状線案や、登戸と新百合ヶ丘を結ぶダブルO - 1型案も含まれました。

1976年度から1977年度にかけて行われた調査では、都市モノレールの建設を推進するための法律に基づいて、様々な基本的な調査が進められました。この調査によって、ルート案が絞り込まれ、最終的には約38 kmの「8の字」ルートが提案されました。

調査のその後

1978年には、沿線地域での環境影響評価が行われる予定でした。続いて、1980年および1981年にはさらに詳細な基礎調査が実施され、市民の意見やニーズも考慮されました。特に1980年度の調査では、「タウンライナー」という名称案や車両デザイン案が提案され、1981年度には新百合ヶ丘から溝の口までの区間を部分的に開業する案も浮上しました。しかし、1982年度からはさらなる調査が行われることはなく、最終的に都市モノレール計画は中止されることとなりました。

結果としての鉄道空白地域

これにより、川崎市北西部には依然として大きな鉄道空白地域が残ることになりました。川崎縦貫高速鉄道も同伝の理由から計画の見直しが行われましたが、こちらも最終的には中止されました。地域の交通網の未整備は続き、現在も川崎市北西部での公共交通の課題が残されています。

駅の計画

1976年度の調査によれば、このモノレールのルートは、溝の口を起点に宮前平、登戸、新百合ヶ丘を経て再び溝の口に戻る形で設計されていました。車両基地は麻生区南部に、また電留基地は宮前区南部に設置される計画が立てられていましたが、これらも実現には至りませんでした。

このように、川崎市の都市モノレール計画は、多くの期待が寄せられていたものの、実現には至らず、その影響は今も地域の交通課題として残っています。

もう一度検索