川崎重工業船舶海洋ディビジョン

川崎重工業 船舶海洋ディビジョン：造船事業の歴史と現在

川崎重工業の船舶海洋ディビジョンは、同社の屋台骨を支える造船部門です。その歴史は古く、創業者の川崎正蔵が1878年に川崎築地造船所を設立したことに始まります。ここでは、船舶海洋ディビジョンの沿革、事業内容、そして今後の展望について解説します。

沿革

1878年: 川崎正蔵が川崎築地造船所を設立。
1896年: 株式会社川崎造船所設立。
1939年: 川崎重工業株式会社に商号変更。
2002年: 船舶部門が川崎重工業から分離し、川崎造船株式会社として独立。
2007年: 神戸工場で造船用クレーンのアームが倒壊する事故が発生。
2010年: 川崎重工業が川崎造船を吸収合併。船舶海洋カンパニーとして再スタート。
2021年: エネルギー・環境プラントカンパニーと船舶海洋カンパニーが統合し、エネルギーソリューション&マリンカンパニーが発足。造船事業は船舶海洋ディビジョンとして再編。

事業内容

船舶海洋ディビジョンは、神戸工場と坂出工場の2つの国内工場と、中国とブラジルにある3つの海外工場で、多種多様な船舶を建造しています。

神戸工場

神戸工場では、民間用船舶だけでなく、艦艇や海洋機器の製作も行っています。海上自衛隊や海上保安庁の船舶がドック入りすることもあり、進水式には地元住民が招待されるなど、地域との交流も大切にしています。主に5万5,000トンクラスのばら積み船を建造しており、同一タイプの船を複数受注することで生産効率を高めています。また、水中翼船（ジェットフォイル）も製造しています。

坂出工場

坂出工場は、瀬戸大橋からも見える巨大な工場です。大型LNG船などの10万トンを超える大型貨物船を建造しており、2003年には当時世界最大の運搬容量を誇るLNG船「エネルギー フロンティア」を建造しました。その後も、LNG船の大型化を進め、15万3,000立方m型のLNG船を建造しています。また、過去にはJR貨物のEF66形電気機関車も製造していました。

海外工場

中国には南通中遠川崎船舶工程有限公司（NACKS）と大連中遠川崎船舶工程有限公司（DACKS）、ブラジルにはエンセアダ・インドゥストリア・ナヴァル会社があります。

特筆すべき船舶

すいそ ふろんてぃあ: 液体水素運搬船。
* エネルギー フロンティア: 当時世界最大の運搬容量を誇ったLNG船。

まとめ

川崎重工業の船舶海洋ディビジョンは、140年以上の歴史を持つ造船部門です。時代とともに組織再編を繰り返しながらも、常に最先端の技術を導入し、高品質な船舶を提供し続けています。国内だけでなく、海外にも拠点を持ち、グローバルな事業展開を行っています。今後も、環境に配慮した次世代船舶の開発など、造船技術の革新に貢献することが期待されています。

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