川平朝清

川平朝清

川平朝清（かびら ちょうせい）は、1927年8月30日生まれの元アナウンサー、放送局経営者です。「カビラ・キヨシ」の愛称で親しまれ、バプテスト派のクリスチャンとしても知られています。長男はラジオパーソナリティのジョン・カビラ、三男はスポーツキャスター・ナレーターの川平慈英と、息子たちも各界で活躍しています。

生い立ちと台湾時代

川平朝清は、日本統治下の台湾台中市で生まれました。幼少期から児童放送劇団に所属し、台湾放送協会で放送劇に出演するなど、早くから放送の世界に触れていました。医学を志し、台北高等学校理科乙類Iに進学しましたが、在学中に陸軍二等兵として徴兵されました。台北高等学校では、後に『裏切られた台湾』を著すジョージ・H・カーにも師事し、戦後も親交を深めました。

沖縄への引き揚げと放送との出会い

終戦後、川平朝清は復員し、台北高等学校を卒業しました。1946年12月、沖縄に引き揚げますが、そこで目にしたのは、戦火で荒廃した故郷の姿でした。この光景を見た母の言葉「国破れて山河ありというけれど、山河も残らなかったわね」が、深く心に残ったと言います。

その後、米軍関係の仕事や沖縄民政府芸術課長などを務める中で、川平朝清は放送の可能性に着目します。兄の川平朝申が米軍を説得し、1949年に琉球放送の前身である琉球の声放送を設立すると、朝清は初代アナウンサーに就任しました。

NHKでの活躍と国際的な視点

1952年、NHKアナウンサー養成研修を受講した川平朝清は、帰局後、放送課長・チーフアナウンサーに昇格します。1953年からはアメリカに留学し、ミシガン州立大学大学院で放送局の経営を学びました。この留学中に、後の妻となるワンダリーと出会い、3年の交際を経て結婚しました。

帰国後、川平朝清は琉球放送で要職を歴任し、テレビ局の立ち上げにも携わりました。1967年には、NHK沖縄[[放送局]]の前身となる沖縄放送協会を設立し、初代会長に就任します。1972年の沖縄本土復帰に伴い、NHKに統合された後は、NHK会長室主幹や経営企画室国際協力担当経営主幹などを務め、国際的な視点を持って活躍しました。

退職後の活動と功績

1992年にNHKを退職した後は、昭和女子大学で英文科教授、副学長、副理事長などを歴任し、後進の育成にも尽力しました。また、沖縄関連で明仁天皇に進講するなど、沖縄の文化や歴史を伝える活動も行っています。

川平朝清の放送界への貢献は高く評価されており、2020年には、長男ジョンがインタビューしたラジオ番組がギャラクシー賞ラジオ部門大賞などを受賞しました。さらに、2022年には、第59回ギャラクシー賞志賀信夫賞が贈られています。2023年には、第75回NHK放送文化賞を受賞しました。

家族

川平家は、琉球王朝時代から通訳や音楽の分野で活躍した家系です。川平朝清の兄弟も各分野で活躍しており、長兄の朝申は放送局の編集長、二兄の朝甫は琉球放送の幹部、三兄の朝宜は畜産や舞踊で活躍しました。

妻のワンダリーはアメリカ人であり、息子には実業家の川平謙慈がいます。

著書

川平朝清は、以下の著書を執筆・監修しています。

『沖縄問題とキリスト者の責任』(1970年)
『沖縄キリスト教小史』(1971年)
『裏切られた台湾』(2006年)
『犬はだれだ、ぼくはごみだ』(2007年)

川平朝清は、その生涯を通じて、放送界の発展と沖縄の復興に貢献し、その功績は後世に語り継がれています。

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