川本征平

川本 征平

川本 征平（かわもと しょうへい、1938年 - 2023年10月15日）は、日本のアニメーション美術監督として、業界に多大な貢献を果たした重要な人物です。島根県出身で、彼は美術やデザインの世界に深く関わり、数々の名作を手掛けました。

生い立ちとアニメ界への転身

広島県立広島工業高等学校の建築科を卒業した後、地元の建設会社に就職したものの、数ヶ月で退職。姉夫婦を頼って大阪に移り住み、関西美術院でデッサンを学びます。その後、武蔵野美術学校に入学し、上京。卒業後はピー・プロダクションでアルバイトを始め、アニメ作品の背景制作に携わることになります。

その後、東京ムービーに入社し、美術だけでなく営業にも従事。1967年頃には一度アニメ業界から離れてメキシコに渡り、マヤ遺跡の拓本取りをしていました。しかし、帰国後はムクオスタジオや現代制作集団を経て、1969年に仕事仲間と共に「有限会社アトリエローク」を設立します。

ドラえもんとの関わり

川本氏の代表作の一つとして知られる『ドラえもん（第2作第1期）』においては、2005年までの25年間にわたり美術設定を担当し、初期の世界観の構築に貢献しました。また、1980年から1985年にかけては『ドラえもん』の劇場版作品の美術監督を務め、同シリーズにおける重要な役割を果たしました。

しかし、『ドラえもん（第1作）』では制作会社が放送中に解散し、未支払のギャラが残るなど、不運な一面もありました。さらに、藤子・F・不二雄との関係にも影響があったとのことです。

杉並アニメ振興協議会での活動

2001年に設立された杉並アニメ振興協議会の会長に就任し、制作会社やスタジオの連携を深めつつ、経営改善や人材育成に尽力しました。川本氏は、自らアニメーターの養成を始め、地域圏のアニメ制作を新しい地場産業として育てるために「杉並ブランド」としてのアニメ制作に努めました。

2002年には「杉並アニメ匠塾」を設立し、アニメの教育に力を入れ、自らもオリジナル作品を発表するなど業界発展に貢献。特に『サヨナラ、みどりが池 ～飛べ！凧グライダー!!～』や『ココロマメ』などの制作に携わりました。

画家としての展開

2007年にはアトリエロークを株式会社に改組し、代表取締役をスタッフに交代、以降は画家として活動を行いました。アニメ業界第一線を退いた後も、独自の作品展を開いたり、受賞歴も多く残しています。2018年には東京アニメアワードの功労部門を受賞し、2023年には第46回日本アカデミー賞特別賞を受賞するなど、その功績は広く認められています。

彼の遺産

川本氏は、2023年10月15日に収縮性心膜炎のために84歳で亡くなりました。彼の活躍と貢献は、日本アニメーションの発展に欠かせないものであり、アニメ界の偉大な先駆者としての存在は、彼が手がけた数々の作品と共に永遠に語り継がれていくことでしょう。彼の遺した作品や教育への情熱は次世代のアニメーターたちに影響を与え続けるでしょう。

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