川西龍三

川西竜三：航空機開発に情熱を注いだ実業家

川西竜三（1892年2月20日 - 1955年1月24日）は、日本の実業家であり、阪神財閥の系譜である川西財閥の二代目総帥です。彼は、大日本帝国海軍用航空機の開発者として、川西航空機・川西機械製作所の社長、そして新明和工業の創業者として知られています。その功績から、戦後は公職追放指定を受けました。

生い立ちと初期のキャリア

川西竜三は、兵庫県神戸市須磨で、川西清兵衛の次男として生まれました。旧制姫路中学校を経て慶應義塾大学部理財科を卒業後、合資会社日本飛行機製作所（後の中島飛行機）で飛行機の設計・製作を学びました。大学時代には、坂東舜一と親交を深めました。1920年、父が神戸に設立した川西倉庫に川西機械製造所が設立されると、29歳で所長に就任し、父・清兵衛は相談役として彼を支えました。

川西航空機の設立と航空機開発

1928年、川西機械製造所から飛行機部門を分離し、川西航空機を設立しました。三国同盟が成立すると、日独伊親善協会の顧問に就任し、帝国飛行協会や大日本産業報国会でも嘱託を務めました。川西航空機は、三菱重工業や川崎航空機といった大手メーカーに比べると規模は小さかったものの、水上機や飛行艇の専門メーカーとして独自の地位を築きました。

川西竜三は、採算を度外視して国産航空機製造に情熱を注ぎました。その情熱が、後の局地戦闘機「紫電」の開発に繋がったと言われています。

太平洋戦争と川西航空機の終焉

太平洋戦争が始まると、元海軍航空技術廠長の海軍中将・前原謙治を副社長に迎え、菊原静男、関口義男といった優秀な人材を幹部に据え、海軍からの要望に応える形で最新鋭の陸上機の開発に取り組みました。1940年には大型飛行艇「二式大艇」を167機製造し、1943年には迎撃戦闘機「紫電改」を完成させました。九七式大艇、二式大艇、戦闘機「紫電改」は、その高い性能で米軍から恐れられました。

しかし、戦局が悪化するにつれて、川西航空機の全国各地の工場は空襲によってほぼ全焼し、国営軍需工場として接収されました。第二次世界大戦終結後、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）によって解散を命じられ、全ての財産を失いました。さらに、川西航空機の高度な戦闘機技術はアメリカに奪われることとなりました。川西竜三自身も公職追放指定を受けました（後に解除）。

新明和工業の創立と晩年

1949年、川西竜三は新明和興業（現在の新明和工業）を創立し、新たなスタートを切りました。1955年1月24日に62歳で亡くなりました。その功績を讃えられ、死後、勲六等単光旭日章が授与されました。

登場作品

城山三郎の小説『零からの栄光』では、新明和工業創業者・川西竜三の生涯が描かれています。小説には、川西航空機や紫電改、二式飛行艇についても詳しく描写されています。

川西竜三は、日本の航空機産業の発展に大きく貢献した人物として、その名は後世に語り継がれています。

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