川那部浩哉

川那部浩哉（かわなべ ひろや）

プロフィール

川那部浩哉は、1932年5月10日生まれの日本の生物学者です。京都大学名誉[[教授]]であり、滋賀県立琵琶湖博物館の元館長、名誉学芸員も務めました。専門は群集生態学と動物社会学で、特に淡水生物の生態研究において多大な功績を残しています。

生い立ちと学歴

京都市出身の川那部氏は、京都府立第二中学校、京都府立鴨沂高等学校を経て、京都大学理学部に入学。宮地傳三郎教授に師事し、動物学と生態学を深く学びました。1960年には京都大学大学院理学研究科動物学専攻博士課程を修了し、理学博士号を取得しています。

研究活動

川那部氏は、淡水生物、特に種間の相互作用を重視した群集生態学の研究に情熱を注ぎました。アフリカ・タンガニーカ湖での魚類群集生態学、インドネシアでのアゼネズミの個体群動態研究など、海外での実地調査も積極的に行いました。これらの研究を通じて、生物多様性や生態系の複雑なメカニズムを解明しようと努めました。

職歴

1960年に京都大学理学部の助手に就任後、講師、助[[教授]]、教授と昇進。1991年には生態学研究センター長（初代）を兼任しました。1996年に京都大学を退官後、滋賀県立琵琶湖博物館館長に就任し、博物館運営にも貢献しました。2010年に館長を退任後も、名誉学芸員として博物館に関わり続けました。

受賞と栄典

1996年には、日本学士院エジンバラ公賞を受賞。2010年には、フランス共和国からレジオンドヌール勲章シュヴァリエを授与されるなど、国際的にも高い評価を受けています。

著書

川那部氏は、数多くの著作も発表しています。

単著
『川と湖の魚たち』（中公新書, 1969年）
『生物と環境 - 川魚の生態を中心に』（人文書院, 1978年）
『川と湖の生態学』（講談社学術文庫, 1985年）
『偏見の生態学』（農山漁村文化協会, 1987年）
『曖昧の生態学』（農山漁村文化協会, 1996年）
『生物界における共生と多様性』（人文書院, 1996年）
『魚々食紀 - 古来、日本人はどう魚を食べてきたか』（平凡社新書, 2000年）

共著
『原色日本淡水魚類図鑑』（保育社, 1963年）- 宮地伝三郎、水野信彦との共著
『アユの博物誌』（平凡社, 1982年）- 桜井淳史との共著
『検索入門 川と湖の魚1』（保育社, 1989年）- 水野信彦との共著
『検索入門 川と湖の魚2』（保育社, 1990年）- 水野信彦との共著
『対論 多様性と関係性の生態学』（農山漁村文化協会, 1999年）- 小原秀雄、林良博との共著

編著・監修
『日本の淡水魚』（山と溪谷社, 1989年）- 水野信彦と共同編・監修
『淡水魚 改訂版』（東海大学出版会, 1993年）- 監修
『日本の淡水魚 第2版7刷（改定刷）』（山と溪谷社, 1995年）- 水野信彦と共同編・監修
『博物館を楽しむ - 琵琶湖博物館ものがたり』（岩波ジュニア新書, 2000年）- 編著
『日本の淡水魚 改訂版』（山と溪谷社, 2001年）- 水野信彦、細谷和海と共同編・監修
『生物多様性の世界 - 人と自然の共生というパラダイムを目指して -』（クバプロ, 2003年）- 編著

訳書
チャールズ・S.エルトン『侵略の生態学』（思索社, 1971年）
チャールズ・S.エルトン『動物の生態』（思索社, 1978年）
チャールズ・S.エルトン『侵略の生態学 新装版』（思索社, 1988年）
チャールズ・S.エルトン『動物の生態 新装版』（思索社, 1989年）
チャールズ・S.エルトン『動物群集の様式』（思索社, 1990年）- 監訳

その他の関連情報

川那部氏の研究は、生態学分野だけでなく、環境問題や生物多様性保全にも大きな影響を与えています。また、その研究姿勢や教育活動は、多くの研究者や学生に影響を与え続けています。

関連項目

京都大学の人物一覧
滋賀県立琵琶湖博物館
宮地傳三郎
森下正明

外部リンク

川那部浩哉 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース


川那部浩哉は、日本の生態学研究を牽引した偉大な学者であり、その功績は後世に語り継がれることでしょう。

もう一度検索