川野里子

川野 里子（かわの さとこ）は、1959年（昭和34年）5月27日生まれの日本の歌人および評論家です。短歌結社「歌林の会」に所属し、本姓は高橋です。

経歴

大分県竹田市に生まれた川野里子は、京都女子大学短期大学部で学び、その後、千葉大学大学院文学研究科にて修士課程を修了しました。さらに東京大学大学院総合文化研究科の博士課程に進みましたが、単位を取得して退学しています。これまでの人生の中で、山形市やアメリカ合衆国のカリフォルニア州など、様々な土地で暮らした経験があります。歌人としては馬場あき子に師事し、その指導を受けました。所属する歌誌「かりん」では編集委員を務めています。

また、多岐にわたる選者としての活動も知られています。讀賣新聞（西部版）、日本農業新聞、毎日新聞房総文園の選者を務めたほか、NHK教育テレビの「NHK短歌」では2008年度、2009年度、そして2023年度と複数回にわたり選者として登場しました。大学での指導経験もあり、立正大学や放送大学では非常勤講師を務めています。2025年からは、師である馬場あき子の後を受け継ぎ、朝日歌壇の選者を担当することが決まっています。

受賞歴

川野里子の作品は、その文学性が高く評価され、数々の文学賞を受賞しています。

2003年: 歌集『太陽の壷』により、第13回河野愛子賞を受賞。
2009年: 評論集『幻想の重量 葛原妙子の戦後短歌』により、第6回葛原妙子賞を受賞。
2010年: 歌集『王者の道』により、第15回若山牧水賞を受賞。
2018年: 歌集『硝子の島』により、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。
2019年: 短歌「Place to be」により、第55回短歌研究賞を受賞。
2019年: 歌集『歓待』により、第71回読売文学賞を受賞。
2024年: 歌集『ウォーターリリー』により、第22回前川佐美雄賞を受賞。

著書

川野里子は精力的に作品を発表しており、これまでに多数の歌集や評論集、歌書を刊行しています。歌集は個人としての表現を、歌書や評論集は短歌の歴史や他の歌人に関する考察、あるいは短歌そのものへの問いかけを深める著作となっています。

歌集

『五月の王 歌集』雁書館（かりん叢書） 1990年
『青鯨の日 歌集』砂子屋書房（かりん叢書） 1997年
『太陽の壺 歌集』砂子屋書房（かりん叢書） 2002年
『王者の道 歌集』角川書店（かりん叢書） 2010年
『歌集 硝子の島』 短歌研究社 2017年
『歓待 川野里子歌集』砂子屋書房 2019年
『天窓紀行 短歌日記2020』ふらんす堂 2021年
『ウォーターリリー』短歌研究社 2023年

歌書・評論

『未知の言葉であるために』砂子屋書房 2002年
『幻想の重量　葛原妙子の戦後短歌』本阿弥書店 2009年、新装版書肆侃侃房 2021年
『七十年の孤独 戦後短歌からの問い』書肆侃侃房 2015年
『葛原妙子　見るために閉ざす目』笠間書院〈コレクション日本歌人選070〉 2019年（編・解説）
『短歌って何？と訊いてみた　川野里子対話集』本阿弥書店 2025年

編著

* 『葛原妙子歌集』書肆侃侃房 2021年（編・解説・年譜）

川野里子は、自身の歌作のみならず、評論や選者としての活動を通じて、現代短歌の発展に貢献しています。その多角的な視点と深い洞察は、多くの読者や後進の歌人たちに影響を与えています。

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