巣鴨日記

巣鴨日記：戦犯たちの獄中記録

「巣鴨日記」とは、第二次世界大戦終結後、連合国軍によって設置された巣鴨プリズンに、戦犯容疑で拘禁された人々が記した日記の総称です。東京裁判で裁かれた人々を中心に、獄中での生活や心境、日本の将来に対する憂いなどが綴られています。

ただし、岩野泡鳴による同名の著作のように、巣鴨プリズンとは全く関係のない作品も存在します。

巣鴨プリズン関係者による記録

以下に、巣鴨プリズンに収容されていた人物による日記の例を挙げます。中には、生前に公開・公刊されたものも含まれています。

重光葵：外交官・政治家。外務大臣としてポツダム宣言に調印。
『巣鴨日記（正・続）』文藝春秋新社、1953年
『巣鴨日記 - 新字体・現代仮名遣い版』ハート出版、2023年
安倍源基：警視庁特別高等警察部長、警視総監、内務大臣を歴任。
『巣鴨日記』展転社、1992年
嶋田繁太郎：横須賀鎮守府司令長官、海軍大臣を歴任。
『海軍大将嶋田繁太郎備忘録・日記Ⅲ』 軍事史学会編、錦正社、2020年
畑俊六：元帥陸軍大将。
『巣鴨日記』（小見山登 編、日本文化連合会、1977年）
新版『元帥 畑俊六獄中獄外の日誌』前後・2分冊、日本人道主義協会、1992年（非売品）
有馬頼寧：農林大臣。大政翼賛会の設立に関与。
『有馬頼寧日記〈1〉巣鴨獄中時代』伊藤隆・尚友倶楽部編、山川出版社 1997年
巣鴨獄中歌日記
木戸幸一：内大臣。
『木戸幸一日記 東京裁判期』 東京大学出版会、1980年
笹川良一：衆議院議員。
『巣鴨日記』伊藤隆・渡邊明・校訂 中央公論社 1997年2月
『続・巣鴨日記 笹川良一と東京裁判〈1〉』 伊藤隆編 中央公論新社 2007年12月
岸信介：商工大臣、のち衆議院議員、首相。
『岸信介の回想』に所収（文藝春秋、1981年）
太田耕造：亜細亜大学学長。
『全集』全4巻、同大学刊 1983-1985年
太田正孝：大蔵官僚・政治家。
『すがも 人間改革』時代社 1949年
岡部長景：文部大臣ほか。
『岡部長景巣鴨日記』芙蓉書房出版 2015年
石原廣一郎：実業家で、国家主義的団体のリーダー、南進論者。
『石原廣一郎関係文書 上巻 回想録（二・二六事件から東京裁判まで）』柏書房 1994年。

これらの日記は、戦後日本の政治、社会、思想を考察する上で貴重な一次資料となります。当時の日本の指導者たちが、いかなる状況下で何を考え、どのように行動したのかを知る手がかりとなるでしょう。

関連情報

終戦日記
第二次世界大戦を題材とした作品一覧
岩野泡鳴「巣鴨日記」（巣鴨プリズンとは関係ない日記）

外部リンク

巣鴨プリズンを通過した影 『続・巣鴨日記』2008年4月号 ［BOOK Review］by 山本一生（近代史考証家） (FACTAonline)
* 山本一生著「恋と伯爵と大正デモクラシー」のススメ 2007年10月03日 書評 by 阿部重夫 (FACTAonline)

巣鴨日記は、歴史の証言者として、今も私たちに多くのことを語りかけています。

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