左江花山の岩絵の文化的景観

左江花山の岩絵の文化的景観

左江花山の岩絵の文化的景観は、中国南部の広西チワン族自治区に位置し、700年以上にわたる悠久の歴史を背景に持つ著名な岩絵群で構成されています。これらの岩絵は、左江やその支流である明江の崖に描かれており、この地域の文化や歴史を物語る貴重な遺産として評価されています。

岩絵の概要

左江の両岸には、切り立った崖がそびえ立ち、その壁面には赤い顔料で描かれたさまざまな図像が広がります。使用されている顔料は、赤鉄鉱に植物の樹液を混ぜて作られたものです。壁画の中には、なんと130メートルの高さに描かれたものも含まれており、意図的に複雑な描写技法が採用されています。耐久性を考慮し、足場を組む方法や崖の頂上から具象的に描いた可能性が示唆されています。

この地域で特に重要な場所は、約170メートルの幅に40メートルの高さを誇り、110以上のグループに分類される約1900個の像が描かれている点です。この数は、中国の岩絵の中でも非常に大規模な部類に入ります。多くの壁画は川面から30メートルから90メートルの高さに位置し、訪れる人々を圧倒します。

描かれた図像とその意義

岩絵の中で特に目を引くのは人物像で、腕を掲げ足を曲げたポーズの図は、何らかの儀式や活動を示していると考えられています。これらの人物はだいたい60センチから1.5メートルの高さに描かれていますが、最小のものは20センチ、最大のものは3.58メートルにも及びます。人物以外にも、刀剣や船、動物などの描写が見られますが、特に関心を集めるのは銅鼓と呼ばれる道具が描かれている点です。この銅鼓は中国南部や東南アジアで重要な文化的シンボルとされています。

これらの壁画は、紀元前5世紀から後2世紀までの期間に描かれたとされ、チワン族の祖先である雒越に関連していると考えられています。彼らの生活様式や文化、儀式を反映した作品と見なされていますが、放射性炭素年代測定でも最古の岩絵が約16,000年前に遡る可能性が示唆されています。

UNESCO 世界遺産登録の経緯

左江花山の岩絵の文化的景観は、世界遺産の暫定リストに2008年に登録され、その後2015年には正式推薦されました。国際記念物遺跡会議（ICOMOS）は、他のアジアの岩絵遺産と比較しその顕著かつ普遍的な価値を認識し、2016年に世界遺産リストへの登録を承認しました。

登録名は、英語では「Zuojiang Huashan Rock Art Cultural Landscape」、フランス語では「Paysage culturel de l’art rupestre de Zuojiang Huashan」と表記されています。日本語では複数の表現が存在し、国際的な認知も進んでいます。

登録の意義

この世界遺産は、文化的伝統や文明の奇跡としての証拠であると同時に、地域の歴史や文化の連続性を示す重要な資料とされています。特に銅鼓文化に直接関連する元素が含まれていることで、豊かな文化的価値を有しています。

両側から吹き抜ける川風の中で視覚的な迫力を感じながら、訪れた人々にとってこの場所は、歴史の深みを理解する手がかりとなることでしょう。

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