巨勢人

巨勢人の生涯と歴史的影響

巨勢人（こせのひと）、名は比等（ひと）、また毘登（びととも表記される）、は飛鳥時代において名を馳せた人物です。彼は巨勢氏という有力氏族の一員であり、小徳・巨勢大海の子として生まれました。天智天皇に仕え、御史大夫の位にまで上り詰めましたが、672年の壬申の乱では不幸にも敗北を喫し、流罪となりました。

経歴

飛鳥時代の701年に成立した『日本書紀』によると、巨勢人は天智天皇の10年目である671年1月2日、おそらく大きな政治的功績をもたらすことを期待され、蘇我赤兄と共に天皇の前に進み、賀正の儀について奏上しました。この際、彼の位は大錦下と呼ばれました。1月5日には蘇我果安や紀大人と共に御史大夫に任命され、重職に就くこととなります。

同年の11月23日、彼は大友皇子を含む6人の主要臣下と共に誓盟を結びました。この誓いの中で、彼らは天皇の詔を忠実に守ることを誓い、違反した場合には厳しい罰を受けることを宣言しました。このことは、一般に大友皇子を次の天皇に擁立するという意思を示しているとされています。

12月3日には、天智天皇が崩御しました。大友皇子支持者である大海人皇子は、翌年に反乱を起こし、美濃国の不破に軍を集めます。巨勢人は山部王や蘇我果安と共に、数万の兵を率いて大海人皇子と戦うために出動しました。しかし、進軍中に犬上川で兵を陣取った際、山部王と蘇我果安の殺害が発生しますが、その理由は記録されていません。その後、果安は帰還し、自らの首を刺して死にました。巨勢人の行動については詳細が不明ですが、指揮を続けていたかどうかも明らかではありません。

壬申の乱が大海人皇子の勝利に終わった後、巨勢人は流刑となります。彼の行動に関する記録は不明瞭であり、彼が大海人皇子に同調することはなかったと考えられています。ここでの「大納言」という表現は、後世の『日本書紀』編纂者が当時の官職に改編したものと見られています。

系譜

巨勢人の家族については、父は巨勢大海、母や妻は不詳であり、子女の詳細も限られています。彼には巨勢奈弖麻呂という男子と、巨勢郎女（大伴安麻呂の妻）という女子がいました。彼の子孫は、流刑後も巨勢氏を名乗り、歴史的影響を残しました。

巨勢人の生涯は、壬申の乱を通じて飛鳥時代の政治情勢を反映しており、彼の行動や選択は当時の権力闘争における重要な一環となっています。彼が果たした役割や、その後の動向は、後代の歴史に影響を与えることになるのです。

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