蘇我赤兄

蘇我 赤兄について

蘇我 赤兄（そが の あかえ）は、飛鳥時代の豪族として歴史に名を刻んでいます。彼の姓は臣であり、祖父は蘇我馬子、父は蘇我倉麻呂（雄当）です。赤兄は大錦上と左大臣の冠位にあり、その政治的立場からも多くの歴史的事件に関与しました。特に彼の名が知られるのは有間皇子にまつわる事件であり、彼の進軍計画が中大兄皇子によって阻止された経緯は歴史の注目を集めています。

経歴

有間皇子の変

赤兄は、蘇我倉山田石川麻呂が亡くなった後に重用された蘇我系の官人として歴史に名を刻んでいます。斉明天皇4年（658年）、彼は天皇の外出中に都に留まる任務を任ぜられました。その際、有間皇子と接触し、天皇の治世に対する不満を伝えます。彼は天皇の政治には三つの過失があると述べ、有間皇子から信任を受け、謀反の計画を共に考えました。しかし、具体的には計画が進行する前に、有間皇子が密会の場で不吉な兆候を感じ取り、挙兵を取りやめることになります。

その後、有間皇子が捕らえられると、赤兄は宮殿の造営を担当し、市経で皇子の宅を囲み、天皇に報告しました。捕らえられた有間皇子は最終的に謀反の疑いをかけられ、処刑される道を辿ります。この事件には中大兄皇子の意向があったと伝えられており、赤兄が彼を陥れるために画策したという説も存在します。

筑紫率、左大臣

天智天皇8年（669年）、赤兄は筑紫率に任命され、同年の10月には藤原鎌足の死後、重要な役割を果たしました。赤兄が大錦上の地位で詔を述べる役目を担った際、その記録には「宗我舎人」と記されていることから、同一人物として見られる説と別人として見る見解の両方があります。この時期の活動から、赤兄が筑紫に赴任したか短期間で都に戻ったことが考えられます。また、彼は同年11月に天皇の詔を守ると誓う儀式にも参加し、その中で大友皇子と共に政務に携わる姿が見られました。

壬申の乱と配流

672年の壬申の乱では、赤兄の具体的な活動はほとんど知られていませんが、大友皇子の補佐役として参加していたとされます。最終局面では敗北し、大友皇子は自害し、赤兄は捕らえられ配流の身となります。配流先は明確にはわかりませんが、蘇我族の権勢は失われ、長い時を経て蘇我氏の影響力は低下しました。

子孫について

蘇我赤兄の子孫を名乗る安芸氏が、中世に土佐国で力を持ったとされていますが、その真偽については不明確です。このように、赤兄の家系は、歴史の中でさまざまな解釈や伝説を生み出してきました。

系譜

• - 父: 蘇我倉麻呂
• - 母: 不詳
• - 兄弟:

- 蘇我倉山田石川麻呂
- 蘇我日向
- 蘇我連子
- 蘇我果安

• - 妻: 不詳
• - 女子:

- 常陸娘（天智天皇の妃、山辺皇女の母）
- 大蕤娘（天武天皇の妻、穂積親王・紀皇女・田形皇女の母）

結論

蘇我赤兄の生涯は、飛鳥時代の政局の変遷を深く反映しており、彼が歴史の中で果たした役割は決して軽視できるものではありません。彼の政治的行動や家系の情報は、当時の社会状況や人間関係を知る手がかりとなる貴重な資料となっています。

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